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梅星

Author:梅星
社会人になっても、いつもいろいろな空想の世界を思い描いていました。
その中で、ずっと書きたかったお話(小説)をブログという世界を使って紹介させていただきます。
無理なく肩の力を抜いて続けていきたいと思いますので、楽しんでいただけたらと思います(毎週更新予定です)。
初めて読まれる方は、『あらすじ』も並行して読んでいただければ、読みやすいかと思います。
お楽しみください。

尚、文中の登場人物、会社等すべてフィクションです。


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DATE: CATEGORY:第5章 悠美の楽しみ
皆、小学生の悠美がいることから気を利かせ、大宴会は宵の口で散会となった。
皆が引き上げ、片付けの終わり、一息ついてから、悠美と春繁は風呂に入っていた。
「今日は、すごかったね。」
いつものように、春繁が悠美の髪を洗っていると、悠美が興奮冷めやらないといった声で言った。
「まったくだね。
 僕も、あんなの初めてだよ。
 この狭い部屋にこのアパートの住人が全部集まり、ディナーショーみたいだったもんな。」
「でぃなーしょって、なに?」
「ん?
 歌手やバンドが演奏したり歌ったりするのを、観客がご飯を食べながら見たり聞いたりするショーのことだよ。」
「ふーん、そうなんだ。
でも、私が一番すごいと思ったのは、繁おじちゃんのギターと、舞ちゃんの歌声!」
「そうだろう。
 特に舞の歌声は、プロ並みだもんな。
 あっ、悠美、シャンプー流すから、目を閉じていなさい。」
「はーい。」
シャンプーとリンスが終わり、湯舟に浸かっている悠美が、体を洗っている春繁に話しかけた。
「舞ちゃんの歌、初めて聞いたの。
 すごーいとしか言いようがないわ。」
「そうだよ。
 実家、悠美の家では、舞は歌っていなかったの?」
「うん。
 でも、よく子守唄は聴かせてくれたの。
 舞ちゃんの子守歌、とっても気持ちよくて、すぐにぐっすり眠らされたの。」
「えー、眠らされたなんて、なんか物騒な言い方ね。」
悠美と春繁の風呂上がりの支度をしていた舞が風呂場の外から声をかけた。
「えー、じゃあ、何て言うの?
 私やお兄ちゃん、いつも歌を最後まで聞いていないのよ。」
「うふふ、それじゃあ、私の勝ちだ。」
舞は勝ち誇ったように言った。
「だから、『眠らされた』なんだけど、なんか可笑しい?」
「うーん、一理あるけど、使い方がね……。
 せめて、『寝かしつけられた』かしらね。」
「ふーん。」
「じゃあ、久し振りに、後で歌ってあげる。」
「ほんと?」
悠美は、思わず湯船から飛び上がった。
「おいおい、また、皆が聞きにきたら、どうする?」
春繁が冗談交じりに言った。
「そうしたら、悠美もろとも寝かしつけて上げるわよ。」
「やーよ。
 私の寝るところがなくなっちゃう。」
悠美が不満そうに言うと、舞は笑いながらお風呂場から出ていった。
その後、春繁たちと入れ替わりに舞がお風呂に入り、約束通り、舞は悠美に添い寝をしながら子守唄を歌って聞かせた。
悠美は、嬉しそうに歌を聞きながら、あっという間に眠り込んだ。
「よーし、一丁あがり。」
舞は、悠美が寝たのを確認してから、起き上がり、自分の布団で横になっている春繁の方を見たが、春繁は微動だにしなかった。
「え?
 まさか、繁さんまで?」
舞はそう言いながら、そっと春繁の顔を覗き込んだ。
春繁は、待っていましたと言わんばかりに覗き込んでいる舞を下から抱き寄せ、唇にキスをした。
「ちょっと、悠美が起きちゃうって……。」
舞は一瞬、うっとりとしたが、すぐに我に返って体を引き離した。
「ごめん、ごめん。」
春繁は小さな声で笑いながら言った。
「もう。」
舞も小さな声で笑いながら言った。
「向うの部屋で、少し飲みますか?」
春繁がそう言うと、舞は「賛成!」と小声で言った。
そして、二人はいそいそと、隣の部屋に移っていった。
「しかし、舞の子守歌も絶品だな。
 僕も、思わず寝落ちかけたよ。」
「まあ、残念。
 私を置いて寝込んでいたら、顔に落書きしてあげるところだったのに。」
「おお、危ない。」
「で、何を呑む?
 河合のおばちゃんの差し入れの日本酒でも呑む?」
「そうだね。
 でも、あれって、皆で全部飲んじゃったんじゃないのか?」
「実はね、こっそりと私たち用にって、別に渡してくれたお酒があるのよ。」
「え?
 そうなんだ。」
そう言って、舞はキッチンから包装された一升瓶を持ってきた。
包装紙を取って、日本酒の銘柄を見た瞬間、舞は笑いだした。
「どうしたの?」
大きい声で笑うと悠美が起きると思い、懸命に笑いをこらえながら舞は日本酒の瓶を春繁に渡した。
「なになに……。
 『満開熟女』?
 なんて、リアクションしたらいいんだろう……。」
春繁は、困った顔をして一升瓶を眺めていた。
舞は春繁からその一升瓶を取り上げ、コップに注いで渡した。
「私、このお酒の酒蔵、知ってるの。
 熟女シリーズや十九女、処女シリーズといった変わった銘柄を作って売ってるのよ。
 銘柄名はふざけているけど、味は絶品だから飲んでみて。」
「ふーん。」
そう言いながら春繁は注がれたコップの日本酒を一口飲んでみた。
「う、うまい。
 本当だ、飲みやすいし、すごく美味しい。」
「でしょ?!
 だから、私も隠れファンなのよ。
 河合のおばちゃんの目も確かね。」
そう言いながら、舞も美味しそうに日本酒を吞んでいた。
「でも、今日は凄まじかったな。
 悠美がいなかったら、きっと、夜中までどんちゃん騒ぎだったろうな。」
「きっとそうね。
 だって、夕飯だって、お寿司は取るわ、ピザも注文するわでしょ。
 お酒だって買い足してだもんね。」
「そうだよな。
 今月、我家の食費は破たんしたなぁ。」
「あ、大丈夫よ。
 薫ちゃんがしっかり計算しワリカンで清算してくれたから。」
「おお、今度あったら、お礼しておかなくっちゃ。」
「そうよ。
 でも、気が付いたらリクエスト大会になっていたわよね。」
「そうそう、玉井さんのリクエストで『リンゴ追剥』。
 あれは、絶品だったね。」
「あれは、何よ。
 ギターの本体を叩いて『ぱっかぱっか』って。」
「馬の足音になっていただろう?」
「あんなにハミちゃん叩いて。
 ハミちゃんが可哀想。」
舞が少し脹れた顔をしたのを見て春繁は頭を掻きながら、話を逸らした。。
「でもさ、何か皆、用意周到な気がして。
 舞の歌声が聞こえた瞬間に、それ行けーって感じじゃないか?」
「そうね、河合のおばちゃんなんてお酒用意していたみたいだし。」
舞は興味津々と話に乗ってきた。
「ここに住んでから、そんなに部屋でセッションしたっけ?」
「うーん、あんまり記憶にないわね。
 だいたいは、外の公園だし、最近はちょくちょく悠美が来ているから。」
「ということは…。」
春繁は舞をしみじみと見つめた。
「え?
 なに?
 ということは?
 なに?」
何か思い当たったか、舞はしどろもどろになっていた。
「舞。
 家で一人で歌いまくっているんじゃないの?」
「え?
 うーん。
 まあ、気分を変えたいときとか、少し……。」
舞は上目遣いに春繁を見つめた。
「それで、みんな、機会をうかがっていたのかぁ。」
「そんなぁ~。
 じゃあ、今度から窓を閉めて小さな声で歌うしかないじゃない。」
「あははは。
 じゃあ、今度は歌詞に『焼き鳥食べたい』とか『美味しいお酒が飲みたい』って混ぜてみたら?
 きっと、貢物が届くんじゃないのかな?」
「もう、繁さんたら。」
少しむくれた顔をした舞を見ながら春繁は優しく言った。
「でもね、舞の歌って、皆を感動させるところがあるんだよ。
 なんて言うのかな、ただ上手っていうだけではなく、感情がてんこ盛りになっているからかな。」
「てんこ盛りですか……。
 やっぱり、『お酒』、『おつまみ』、『おやつ』のキーワード入れてみようかしら。」
二人は、宴会の話をしながら屈託もなく笑っていた。
その内、舞は春繁の隣に席を移し、春繁に寄りかかりながら窓の外の満月を見ていた。
窓は悠美の寝ている部屋にあり、居間との境の襖を半分だけ開けてあった。
「何か、平和ね。」
「そうだね。」
「みんな、いい人ばかり。」
「ああ、そうだね。」
「私、幸せだわ。」
「僕も、君といられて幸せだよ。」
舞はうっとりした顔で春繁に顔を近づけた。
春繁も舞の肩を抱いて唇を重ねた。
そして、二人はゆっくりと畳の上に横になった。
「繁おじちゃん!」
突然の悠美の声に二人は飛び上がった。
「え?
 悠美、何かな?」
「そ、そうよ。
 どうしたの?」
二人は焦りながら悠美の寝ている方に顔を向けた。
その先には、悠美が寝息をたてて寝ている姿が目に入った。
「寝ぼけ?」
「そうみたい……。」
二人は顔を見合わせて笑い転げた。
その後、二人は悠美の寝ている部屋と居間の間のふすまを完全に閉め、再び、抱き合った。
「畳の上で痛くないか?」
春繁は下になっている舞を気遣って言った。
「だいじょうぶ……。」
舞はうっとりした顔で答えた。
春繁は、舞のそんな顔と舞から立ち上ってくる成熟した女性の香りで一気に固くなっていった。
春繁は、舞のパジャマの胸のあたりのボタンから外していった。
そして外したボタンの部分のパジャマがめくれ、中から形の良い柔らかい胸があらわになった。
春繁は、その胸を弄りながら、そっと唇を寄せていった。
「繁さん……。」
「ん?」
下になっている舞が喘ぐように言った。
「静かにね……。」
「ああ。」
そして、二人は静かにする分、濃密に幸せな時間を過ごした。

翌日、3人は前日の疲れのせいか寝坊し、小学生の悠美が一番早くに目を開けたが、すでに10時は回っていた。
「わ!」
悠美は時計を見てびっくりした声を上げたが、春繁と舞がまだ寝ているのを知って、静かにしていた。
その内、悠美がもぞもぞやっている気配に、舞が気づいて目を覚ました。
「舞ちゃん、おはよう。」
悠美は、舞が目を開けたのを察し、上半身を起こし、舞の顔を覗き込んだ。
「うーん。
 悠美、おはよう。」
そう言うと舞は下から悠美を抱きしめて言った。
悠美は、奇しくも舞の胸の中に顔を埋める格好になった。
悠美は、舞の胸の柔らかさと、舞の良い匂いにじっとしていたが、すぐに苦しそうな声をだした。
「舞ちゃん、く、くるしい。」
「ああ、ごめん、ごめん。」
そう言って、舞は悠美を抱きしめている腕を外した。
自由になった悠美は、その場に座り込んで、大きく深呼吸をした。
「悠美、お腹減ったでしょ?」
「うん。
 でも、まだ、繁おじちゃん、寝てるよ。」
「繁さん、仕事の疲れもあるから、そのまま、寝かしておきましょう。
 私達は、起きて朝食の準備をしましょうね。」
「はーい。」
(それに昨日の夜の疲れもあるからね。)
舞は、思わず思い出し笑いをした。
その後、悠美と舞は朝食の支度をし、出来上がる頃に春繁も起きてきた。
朝食を済ませ、ひとしきり遊び、悠美を送り返す時間となった
「さあ、また、みんなで駅まで行こう。」
「え?
 繁おじちゃんも一緒?」
「ああ。そうだよ。
 不満かな?」
春繁がそういうと悠美は大げさにかぶりを振って否定した。
「ううん、その逆。
 うふふ。
舞ちゃんと3人で手をつなげるんだってね。」
「そっか。」
「それと、昨日、みんな言ってたじゃない。
 私が繁おじちゃんと舞ちゃんの子供見たいって。
 えへへへ。」
「まあ。」
悠美の話を聞いて、舞も思わず笑みを漏らした。
玄関を開けて外に出ると、すぐに隣の平井夫婦の部屋のドアが開き、薫が出てきた。
「悠美ちゃん、もう帰るの?」
「はい。」
「じゃあ、これ持って行って。」
そういって薫は手に持っていたゼリービーンズの入っている袋を悠美に渡した。
「え?
 これって?」
悠美がびっくりして聞いた。
「美味しいのよ。
 お姉さんと仲良しになった印。
 お土産だから持って行ってね。
 美味しいお菓子買って待っているから、今度来た時も声をかけてね。」
薫は悠美と昨日の宴会ですっかり打ち解け、悠美のことを妹の様にすっかり気に入っていた。
「まあ、薫ちゃん。
 いいの?」
舞がすまなそうに言うと、薫は笑顔でうなずいた。
階段を下りていくと、今度は下の階の河合が出てきて、手の持っている塗り絵のセットを悠美に差し出した。
「今度来るときは、必ず、おばちゃんのところに声をかけてね。」
「はーい。」
明るい悠美とは裏腹に、舞は恐縮して河合にお礼を言っていた。
駅までの道すがら、3人は真ん中に悠美を挟み、手をつないでいた。
「薫お姉ちゃんからお菓子で、おばちゃんから塗り絵もらっちゃった。」
「ほんと。
 いつの間に、そんなに仲良しになったの?」
舞は、呆れて聞いた。
「え?
 うーん、昨日、皆とたくさんお話したの。
 そうしたら、仲良しさんになっちゃった。」
「まあ。」
「でも、社交的でいいじゃない。」
「繁さんたら。」
そして、いつもように悠美の乗った電車を見送った後、二人は夕飯の買い物に、近くの商店街で物色して歩いていた。
すると、魚屋の前で舞の脚がピタッと止まった。
「舞、どうした?」
「ねえ、繁さん。
 サザエのつぼ焼きと蛤の焼いたのとどっちが食べたい?」
「え?
 僕は、サザエのつぼ焼きかな?
 でも、あれ、料理がたいへんでしょ?」
「なんで?」
「ほら、先に生きたまま蓋をこじ開け、中身を出して刻んでから醤油と一緒に殻に戻して焼くんでしょ?
 滅茶苦茶、力がいるから。」
「え?
 どこで、そんなこと習ったの?
 お義母さんじゃないでしょ?」
「ああ、大学の1年の時のゼミの合宿で。
 その時、舞はまだ高校生だったでしょ。」
「道理で。
 あれはね、そのまま、お醤油とお酒を垂らして、そのまま焼いちゃうの。
 焼いたら簡単にとり出せるから、そうしたら中身を取り出して切って、元に戻すのよ。
 生きたままっていったら、向こうも必死なんだからね。」
「あ、そうなんだ。」
「今晩、作ってあげる。
 じゃあ、両方買っちゃおう。
お酒のおつまみに丁度いいし!」
「賛成!!」
二人は、サザエと蛤、その他、夕飯の材料を買って帰った。
その夜、食卓にそのサザエのつぼ焼きと蛤の磯焼を並べ、それをつまみにして、二人は昨日河合から貰った日本酒を呑んでいた。
「本当だ。
 サザエのつぼ焼きって簡単にできるんだ。
 舞って、本当に料理が上手だな。」
「えへへ、それほどでも。」
舞は、得意万遍な顔をして蛤を頬張った。
「ひゅげさん、ひゅげしゃん。
 このひゃまぐりもおいひいから。」
「舞。
 食べながらだと何言っているのかわからないよ。」
春繁は笑いながら言った。
少しして、蛤をお腹に収めた舞がハマグリを指さして言った。
「ごめんなさい。
でも、この蛤もおいしいから食べてみて。」
そう言って舞は蛤を自分のお箸でつまんで、春繁の口元に運んだ。
「あーん。」
舞がそう言うと、春繁は差し出された蛤をそのまま口に頬張った。
「うん、うみゃい。
 こりは、うみゃいひゃまぐりだ。」
「あはははは、そうでしょ!」
舞は天真爛漫の笑顔で言った。
いつも二人の食卓は笑い声に包まれていた。
夕飯の片付けも終わり、二人はお布団の上でまどろんでいた。
舞は春繁を座椅子替わりに座ってもたれかかっていた。
「ねえ、繁さん。
 あの歌の気持ち、良く判るわ。」
「ああ、あれね。
 僕もさ。
 だって、舞と二人で散々ああでもないこうでもないと解釈しながら作った歌だもんな。」
「うん、それもそうだけど、実際に今のような生活をしていると痛切に思うの。
 もし、戦争が起こって、あなたが戦地に赴き何かあったら、私は絶対に耐えられない。
 それなら、私はあなたに付いてどこまでも行くわ。」
「そうだな、でも僕は、君を危ないところには絶対に連れていかない。
 その代り、絶対に生きて帰って来るよ。」
「うん。
 戦争や争い事なんか、なければいいのにね。」
「そうだよね。
 だから、あの歌を僕たちの子供たちにも伝えて行かなくちゃね。」
「そうね。
 私達の子供。」
そう言うと、舞は身体を反転させ春繁と向き合った。
そして、ゆっくりとしなだれかかりその身を春繁に預け、唇を重ね合わせた。
春繁は、力強く舞を抱きしめ、少し乱暴に押し倒した。
「きゃっ。」
舞は小さな悲鳴を上げたが、春繁はお構いなしに舞の身体をむさぼるように激しく求めた。
「ね…、しげ…さん…。
 悠美がいなくても…、大きな音…させたら…、近所…迷惑…だから…ね……。」
舞は喘ぐようにいった。
昨夜は悠美が寝ていたため音を立てないようにしていたが、今夜はその反動で、いつもに輪をかけて幸せな時間を過ごしていた。
月の灯りがそんな二人を祝福しているようだった。
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