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梅星

Author:梅星
社会人になっても、いつもいろいろな空想の世界を思い描いていました。
その中で、ずっと書きたかったお話(小説)をブログという世界を使って紹介させていただきます。
無理なく肩の力を抜いて続けていきたいと思いますので、楽しんでいただけたらと思います(毎週更新予定です)。
初めて読まれる方は、『あらすじ』も並行して読んでいただければ、読みやすいかと思います。
お楽しみください。

尚、文中の登場人物、会社等すべてフィクションです。


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DATE: CATEGORY:第4章 春彦の変貌
しかし、結局、佳奈と話してから1カ月経っても2カ月経っても、俊介は春彦を無視したままだった。
そして、3学期に入ったある日のこと、いつものように春彦と佳奈は肩を並べて歩いていた。
「結局、福山君とは、あのままなの?」
佳奈が残念そうに切り出した。
「ああ、結局な。
 もともと、クラスも違うし、階も違うから、すれ違うこともなく、尚更かな。」
「そうなんだ…。」
「まあ、前も言ったように気長に待つさ。
 その内、何かのきっかけで、また、前の様に話すようになるかもしれないしな。」
春彦は、半分自分に言い聞かし、半分は佳奈に気を使わせないように言った。
「そうね、きっと、前みたい仲良しにもどるわ。
 きっとね。」
佳奈も、春彦が割り切っているのを見て、話題を変えた。
「そう言えば、知ってる?
 最近、近くの『五商』の不良が、うちの高校の生徒をターゲットにしてるんだって。
 この前は、違うクラスの子がカツアゲされたって。」
『五商』は、佳奈たちの通っている西高のそばにあり、進学コースと就職コースに分かれている学校だった。
もともとは、西高と同じくらいにレベルが高い学校だったが、最近、一部の学生が不良とかし、周りに迷惑行為を働き、問題になってきていた。
「ああ、その話、知ってる。
 うちの生徒、結構、おとなしいから狙われているって。
 担任も、寄り道しないで真っ直ぐ帰る様にって、言ってたな。」
「いやだわ、何でそんなことするのかしら。」
「まあ、そういうことする奴らは、見かけだけで、からっきし弱いって決まってるんだけどな。
 何かすると、こっちは内申に響くしな。」
「そうね…。
 あれ?」
佳奈は、不意に目を正面にやった。
佳奈の目線の先には、その『五商』の校章をつけた、どちらかというと不良っぽい2人組が春彦と佳奈の方を見ながらニヤニヤして歩いてきた。
しかし、五商の二人は、近づくにつれ春彦を見て厳しい顔になっていた。
「はる、だめよ。
 相手にしないでね。」
佳奈は小声で春彦のブラウスを引いて、呟いた。
そして、すれ違いざま、春彦と五商の二人はにらみ合ったが、そのまま、すれ違っていった。
にらみ合ったといっても、春彦は、何の感情も顔には出さず、無表情で相手を見ていただけで、相手の方が、険しい顔をしていた。
「はる。」
すれ違って、すぐ、佳奈は春彦の袖を再度、引っ張った。
「ああ、なにもしなかったろ?」
春彦は、佳奈に話しかけた。
「うん。
 でも、なんだか怖かったわ。
 あの話、本当なんだ。」
「でも、五商の生徒が、みんな不良じゃないよ。」
「うん、わかってる。
 ほら、中学の時に一緒だった田中さんも五商に通ってるもんね。
 たまに、あったりするけど、変わってないわよ。」
春彦は、佳奈の言うことに頷いて見せた。
(でも、怖かったのは、はるのことなのよ。)
佳奈は、すれ違う時に、以前、俊介との組手の際に感じた、嫌な雰囲気を春彦から感じ、怖かったが、声には出さなかった。

それから数日後、ちょっとした事件が起こった。
同級生を恐喝された福山が、怒って、その首謀者のいる『五商』のグループに殴り込みをかけて、相手を怪我させてしまった。
「ねえ、はる、たいへんよ。
 福山君の話し、聞いた?」
佳奈が休憩時間に息せき切って春彦の教室に飛び込んできた。
「ああ、聞いた。
 俊介が、『五商』の不良グループに喧嘩を売って、相手を怪我させたって話だろ。」
春彦はしかめっ面をして、答えた。
「それで、先生に呼ばれて、たいへんなの。」
春彦は、険しい顔をして佳奈の次の言葉を待っていた。
佳奈たちは生活態度もよく、教師に可愛がられているので、正確な情報を知っていた。
「喧嘩した相手が、うちの生徒を恐喝したことが確かなことだと判明したので、今回は反省文で済んだんだけど、次に、もし、喧嘩を したら、即刻、停学かひどければ退学だって。」
「でも、今回は、お咎めなしなんだろ。」
春彦はすこし安心した。
「そうなんだけど、この前話した『五商』に行っている田中さんから心配して電話があったの。」
「……?」
「その『五商』の不良グループが、福山君を絶対に許さないって。
 なんでも、今回、福山君がやっつけた不良って、そのグループの下っ端なんだって。
 なので、今度はもっと強い番長みたいのが出てくるって。
 福山君に気を付けるようにって、言付かったの。」
「やれやれ。
 昔の、不良マンガじゃあるまいし。」
春彦は、また、顔を曇らせた。
「田中さんの情報じゃ、その不良グループって、50人位いるんだって。
 それで、番長やそれに近い人たちって、空手や何とかっていう格闘技をやってるって話よ。
 特に番長は空手の有段者に引けは取らないんだって。」
「50人?
 それは、大げさだよな。」
「でも、嘘じゃないみたいなの。」
「そうなんだ。
 俊介も、変なのに目をつけられたな。
 なまじ、正義感が強いからなぁ。」
どんなことがあっても、今度、俊介がもめ事を起こすと停学になり、内申書にも影響が出るのに、不良どもにつけ狙われたらと思うと嫌な予感が頭をよぎった。
それから、あけすけに『五商』の不良グループは、西校の近くで、生徒を呼びつけて恐喝まがいな行為を行い、生徒を震え上がらせていた。
西高の教師も、俊介には絶対に相手にしないようにと念を押しながら、校外の見回りを強化し、西高の生徒に危害が加えられないように気を配っていた。
しかし、教師の姿を見かけると不良たちはそそくさと場所を換え、同じことを繰り返していた。
春彦は、なるべく帰りは佳奈が巻き込まれないように、一緒に帰ることにしていた。
佳奈は、春彦がそういうふうに、自分のことを心配し、一緒に帰る機会が増えたのを、不謹慎化と思いながら、心の中では歓迎していた。
「はる、いつもありがとうね。」
帰り道、佳奈は、素直に言った。
「本当、助かるわ。」
木乃美も、ちゃっかり佳奈にくっ付いて3人で帰ることが多かった。
木乃美も佳奈と春彦の降りる駅が一緒だった。
春彦も、佳奈と同じように木乃美のことも気になったので、一緒に帰るのは、どちらかというと安心でき、好都合だった。
「ああ、どういたしまして。
 不良が間違えてお前たちを襲ったら、不良の方が危ないからな」
春彦は軽口を言った。
「ちょっと、どういうこと?」
佳奈は、怒ったふりをして言い返した。
「冗談だよ。
 佳奈や木乃美には、例え、少しでも怖い思いをさせたり、指の一本でも触れさせないからな。」
「え?」
春彦の思いがけないセリフに、佳奈は、言葉を失い、顔が熱くなるのを感じ、うつむいて小さく「うん」と返事をした。
佳奈は、ふと横を見ると、木乃美も顔を赤らめ、恥かしそうに下を向いていた。
しばらく、三人は沈黙しながら歩いていた。
そして、電車を降り、木乃美は春彦や佳奈と別方向の道に分かれるところで立ち止まった。
「春彦、ありがとうね。
 佳奈だけじゃなく、私まで心配してくれて。」
そういうと、木乃美はぺこっとお辞儀をして、二人に背を向けて歩きだした。
「じゃあね。木乃美。
 また明日ね。」
佳奈は、そう声をかけると、木乃美の方に手を振った。
春彦も、木乃美の後姿に向かって、手を振った。
振り向かず手を振り返した木乃美の顔には万遍の笑みがこぼれていたのを、佳奈も春彦も気が付かなかった。
佳奈は、木乃美が恥ずかしそうに挨拶したのを思い返した。
「なんか、あんな照れた木乃美を見たの初めてかな。」
「そうだな、あいつも可愛いとこあるな。」
「まっ!
 春ったら。」
佳奈は、春彦の脇腹を肘で小突いた。


翌日、部活の後、佳奈と春彦は連れ添って、学校を出た。
「今日は、木乃美は用事があるって、先に久美と帰ったの。」
「そうか。
 でも、二人なら安心かな。」
「そうね。
 ねえ、はる。」
「ん?」
「昨日言ったセリフなんだけど…私、一人だったら…。」
佳奈は、なぜかもじもじしながら語尾を濁していた。
校門を出て少し歩いたところで、春彦は、それを遮る様に、少し離れたところを見て言った。
「あれ?
 あれって、高野じゃないか?」
「え?
 中学の時に、一緒だった高野君?」
「ああ、あいつ、確か『五商』に進学したんだよな。
 なに、あそこで、きょろきょろしてるんだろう。
 挙動不審で、うちの教師に呼び止められるぞ。」
「そうね、本当。
 なにかきょろきょろして落ち着かないわね。」
佳奈は、先程までのことを全て忘れたように、興味が旧友の男子学生に向いていた。
「高野君、『五商』の進学組に入ったはずなのに。
 まさか、不良のメンバーに入ったのかしら。」
「いや、高野に限ってそれはないな。
 もともと、平和主義だし、学生生活を楽しむぞー、ってやつだから。
 ちょっと、行ってみよう。」
「うん。」
春彦に促され佳奈も一緒に、きょろきょろと挙動不審な高野の方に近づいていった。
「おーい、高野。
 こんなところで、何やってんだ。」
春彦が高野の後ろから声をかけると、声を掛けられた高野という少年は、びっくりして飛び上がった。
そして、おそるおそると振り返り、春彦を確認した。
「ああ、立花か。
 びっくりしぃ。」
「びっくりしたは、ないだろう。
 なんで、おれが声を掛けたらびっくりして飛び上がったんだ?」
「えっ、それは…。」
高野は歯切れ悪く、言葉を濁した。
「高野君、お久しぶり。
 元気だった?」
春彦の後ろから、佳奈がにこやかに笑いながら高野に挨拶をした。
「あっ、菅井も一緒だったんだ。
 お前たち、昔から変わらずいつも一緒やな。」
高野は佳奈の笑顔を見て、緊張が少し薄らいだのか、つられて微笑んだ。
それを見て、春彦は、改めて質問をした。
「それで、どうしたんだ?
 こんなところで、きょろきょろしていると、良くも悪くも目立つぞ。
 それに、最近、そっちの学校とうちの学校、気まずい状態になってるんだから。
 巻き込まれると、たいへんだよ。」
「えっ?!」
高野は、春彦の「巻き込まれると、たいへん。」という言葉に思わず反応した。
そして、決めたように何かを春彦に言おうとしたが、佳奈を見て、躊躇してしまった。
春彦は、ふと気になり、目立たないように周りを見渡した。
そして、少し離れたところのコンビニの駐車場にこっそりこちらを窺っている『五商』の不良グループとおぼしき二人組が目に入った。
そして、逆の方には、西高の教師が通学路の途中に立って、生徒たちの下校を見守っているのが目に留まった。
春彦は、高野の挙動や、不良グループとおぼしき二人組を見て、何とはなく状況がわかった気がした。
そこで、こっそりと佳奈に耳打ちをした。
「佳奈、きょろきょろしないで話を聞いて。」
「え?
うん。」
急なことに、佳奈は少し体を強張らせた。
「この先にコンビニがあるだろ。
 そこの駐車場に『五商』の不良の二人組がいるみたいなんだ。
 おれの陰から、こっそり、見える?」
佳奈は、そーっと、春彦を壁にしてコンビニの方を窺った。
「うん、二人いたわ。」
「なんだか、雲行きが怪しいから、こっそり戻って、見回りの先生に言ってきてくれないか?
 先生、少し戻ったところに立っているから。」
「うん、熊野先生でしょ。
 さっき、見かけたわ。
 あの先生、迫力あるから。
 わかったわ。
 で、春は?」
「おれ?
 ちょっと、高野と話をしたいから、ここにいるよ。」
「うん、じゃあ、ちょっと行ってくるわね。」
佳奈は、春彦に言われたことに何も疑問を持たずに、踵替えして、何事もないように歩き出した。
「さんきゅー、佳奈。」
春彦は、佳奈の後姿に向かって小さな声で言った。
こういう時、特に聞き分けが良くなる佳奈に、春彦はいつも感謝していた。
佳奈としては、本当は、いろいろと聞きたいのだが、ぐっと押さえ、素直に言うことを聞いていた。
春彦は、いつも何かあると、後ででもきちんと佳奈に説明をしていたので、そういうことでは、佳奈は信頼していた。
佳奈が離れていったのを見届け、春彦は高野の方に振り返って、うつむきがちに話の続きを始めた。
「で、どうしたの?
 何か困ったことに巻き込まれたのか?」
「あっ、ああ、そうなんだ。」
「後ろにおっかないのがこっちを見てるけど、あれか?
 あっ、振り向かなくていいから。」
「ああ、実はそうなんや。
 立花も知ってるんな、うちの学校の問題児と福山の件。」
「ああ、知ってる。
 『五商』の不良グループと俊介がいざこざを起こし、不良グループが俊介にお返しをするって、息まいているって件だろう。
 それより、お前、変な訛になってるよ。」
高野は少し顔をゆがめたが、話しを続けた。
「うん、ほら、俺ら中学の時、結構、仲良かったじゃん。
 それで、うっかり俺が福山の友達で、あいつのことを良く知ってるけって、口を滑らして。」
高野は、そこで一回言葉を切って、唾を飲み込んだ。
「そうしたら、それが不良グループの耳に入って、これを渡して来いって。」
そういって、高野は茶封筒を取り出して、春彦に見せた。
「なに、これ?」
「中は、福山への呼出し状みたい。
 今日中に福山へ渡せって言われて。
 渡せなかったら、袋にするって脅かされてるんよ。」
高野は、小刻みに身震いをしていた。
「なんか、友達を売るみたいで気が進まなくてさ。
 でも、渡さないとあいつらに何をされるかわからないっしょ。」
「なんで、あいつら、俊介の家に直接行かないんだ?」
「ああ、福山の家の職業を話してあるからじゃないか。」
「お前が言ったの?」
「うん、福山の家は警備関係の仕事で、道場があって、みんな鍛えちょるって。」
「そうなんだ。
 でも、それならなおさら俊介に手を出そうとしないはずだよな。
 なんせ、俊介はああみえても、有段者でかなり強いからな。」
「それがさ、不良グループのボスも空手の有段者で、また、その取り巻きの親衛隊って呼ばれている奴らも結構強いって噂でさ、それが出張って来るみたいなんよ。」
春彦と会話しているうちに高野は何か元気が出てきて、口が滑らかになっていた。
「ふーん、そうなんだ。
 だけど、お前、やっぱり変な訛り。」
春彦は、そう言いながら、佳奈の向かった先に目をやった。
佳奈は、見回りの熊野という教師のところで話をしていた。
が、その話も終わったらしく、熊野という教師のみがこちらに、正確に言うと不良たちがいるコンビニの方に歩き出していた。
それを見て、春彦は顔を上げ、高野の方に手を出した。
「わかった。
 その手紙、おれが今日中に俊介に渡してやるよ。」
春彦は口の動きで、後ろで見ている不良たちにも内容がわかる様に、少し声のトーンも上げて話した。
「え?
 いいんか?」
高野は地獄に仏のような顔で春彦に聞き直した。
「ああ、だから、不良どもには、俊介の友達に渡すように頼んだと言っておきな。
 うーん、そうだ。
 届けたら、夜、高野の家に電話するって付け加えておけばいいかな。」
「そうだね、そうする。
 でも、だれに渡したって聞かれたら、立花の名前を出していいか?」
「ああ、いいよ。」
春彦は普通の顔で答えた。
その顔を見て、高野は、思いっきりほっとした顔になった。
うしろでは、丁度、熊野に追いやられて不良たちが退散するところだった。
「助かるよ。
 恩に着るっす。」
高野は、そう言いながら、手を合わせ、春彦に何度もお辞儀をした。
「おいおい、お地蔵さんじゃないんだから。
 高野も気をつけてな。」
「サンキューでっせ。
今度、何かおごるからね。」
「ああ、期待してるよ
 でも、お前、その変な口癖、直せよ。」
高野は用事が済んだので、とっととこの場から立ち去っていった。
春彦は、高野の後ろ姿に手を振っていた。
「春、高野君は?」
後ろから佳奈の声が聞えた。
佳奈は、熊野に説明をした後、熊野が不良に向かって歩き出した後、しばらくしてから春彦のもとに合流してきた。
「ああ、用事が済んだのと、不良が居なくなったので、とっとと帰ったよ。」
「そうなんだ。
 で、なんの用事だったの?
 やっぱり、福山君の件?」
佳奈は興味津々に春彦に尋ねた。
「ああ、その通り。
 高野が俊介と中学の時一緒で、親しかったっていうことが、不良たちの耳にはいったみたい。
 それで、俊介を見つけて連れて来いって、脅かされていたみたいだよ。」
「まあ、ひどい。
 だから、高野君、おどおどしてたのね。」
「ああ、それで熊野先生が、その不良どもを追っ払ったから、チャンスとばかりに帰ったってわけだよ。」
「そうなんだ。
 でも、そうならば、明日も、脅かされて福山君を捜すのかしら。」
佳奈は、顔を曇らせて言った。
「うーん、どうだかな。
 今日は、帰りにいきなり捕まったって言ってたし、明日、学校の先生に相談してみるっていってたからな。」
春彦は、珍しく佳奈に嘘をついた。
「そうなんだ、ならば、大丈夫ね。」
「そうかもな。
 それに、いざとなれば、あいつ逃げ足は速かったからな。」
春彦は、笑いながら言った。
「まあ、他人事みたいに。」
佳奈は、不謹慎と怒るそぶりをした。
「佳奈、なんかお腹すかないか?」
「え?
 うん、空いた。」
佳奈は、小声で恥ずかしそうに言った。
「じゃあ、鯛焼き食べて帰ろ。」
「うん、春のおごりね。」
一転、佳奈はうれしそうな顔をした。
それから、二人は、いつもの鯛焼きを食べて、帰宅した。
佳奈と別れた後、春彦は、高野から預かった茶封筒を開け、中に入っている紙を出してみた。
内容は、呼出し状で、明日の放課後、時間指定で待つと書いてあった。
来ない場合、また、他の人間にチクったら、西高の生徒をあたりかまわず危害を加えるというものだった。
春彦は、それを読んで、ため息をついた。
「いったい、いつの時代だよ。
 しかも、出来の悪い不良漫画みたいだし。
 こういうのって、本当にあるんだな…。」
半分、呆れて書いてある紙をつまんでひらひらと振っていた。
「さて、どうするかな。
空手の有段者か……。
ちょっと、お目にかかりますか。」
春彦は、最初から俊介にこのことは言わずに、自分一人で相手をする気でいた。
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