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梅星

Author:梅星
社会人になっても、いつもいろいろな空想の世界を思い描いていました。
その中で、ずっと書きたかったお話(小説)をブログという世界を使って紹介させていただきます。
無理なく肩の力を抜いて続けていきたいと思いますので、楽しんでいただけたらと思います(毎週更新予定です)。
初めて読まれる方は、『あらすじ』も並行して読んでいただければ、読みやすいかと思います。
お楽しみください。

尚、文中の登場人物、会社等すべてフィクションです。


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DATE: CATEGORY:第10章 パラレルロード
綾子と出会った次の日、“トントントン”と春彦は部屋のドアを叩く音で目が覚めた。
時計を見るとすでに昼で、明るい日差しがカーテンの隙間から部屋の中に差し込んでいた。
「春彦、帰っているんだろ?
 昼飯、一緒に食べようぜ。」
声の主は陽介だった。
「ああ、ちょっと待っててな。」
春彦はそう言うとベッドから這い出て寝間着代わりに来ているスェットを脱ぎ、Gパンを履いてTシャツにブラウスを羽織り、ドアを開けた。
「なんだ、今まで寝てたのか?」
陽介は飽きれたような顔をした。
「昨日は何時に帰って来た?」
「うーん、終電だったから1時過ぎかな。
 それから、シャワーを浴びたり、なんだかんだで寝たの3時。」
「3時?
 そりゃー眠いわな。
 で、どうだった?」
「え?」
「何しらばっくれてんだよ。
 クラブだよ、クラブ。
 あの店おしゃれだったろ?」
「ああ、よかったよ。」
春彦は、綾子のことを思い出していた。
あれから別れ際に、お互いの連絡先を交換し、また会う約束をして別れたのだが、春彦は綾子と肌を重ねた感触が今も残っていた。

「ん?
 お前、ひょっとして?」
陽介は春彦のわずかな仕草を見逃さず、ニヤニヤと笑った。
「え?
 あ、いや、そうそう、上着ありがとう。
 おかげで、恥をかかずに済んだよ。
 クリーニングして返すな。」
「いいよ、クリーニングなんて。」
陽介はそう言うとハンガーにかかっている春彦に貸した上着を手に取った。
「あれ?
 なんかいい匂いがするぞ。
 はーるーひーこー!!
上着についていた香りは綾子の香水の移り香だった。

綾子の香水は、香り自体はきつくなく、それでもって、甘い花の香りだった。
「どこで知り合ったんだよ。
 あの店か?
 白状しろー!」
陽介は春彦の頭に腕を回し、締め付けながら言った。
「やめ、やめってば。」
春彦は降参して、綾子のことを陽介に打ち明けた。
「ふーん、よさそうな娘じゃない。
 今度紹介しろよ。」
陽介は春彦の話をニヤニヤしながら聞いていた。
「これで、春彦もやっと人並みになったな。」
「人並み?
「ああ、なんかさ、春彦って少し変わっているところがあって、心配してたんだ。
 でも、人並みに彼女が出来たんで、ほっとしたよ。」
陽介は、佳奈のことを知らなかったので、純粋に喜んでいた。
「何が変わっているって?」
春彦は少し怒ったように言うと、陽介は笑いながら「飯にしよう」といって、持ってきた弁当を春彦に差し出した。

次の月曜日、春彦が大学に行くと早速、端田と戸張が不満そうな面持ちで寄って来た。
「なあ、立花。
 お前、何で金曜日、途中で居なくなったんだよ。」
「そうだよ、お前が帰ってこなくて、女の子たち怒って帰っちゃったんだぜ。」
端田が残念そうな顔をして言った。
「だって、結構、お前たち上手くやってたじゃないか。
 そろそろ、俺は邪魔だろうと思って気を利かせて抜け出したんだぜ。」
春彦がそう言うと、端田たちは結局自分たちの力では何ともできなかった事実に口を閉ざしてしまった。
「そう言えば、お前、あの店の一番人気の子と一緒に消えたのか?」
端田は、春彦と綾子が店から出た後、しばらく、二人を探すように店中がざわついていたことを思い出し、話を変え、春彦に尋ねた。
「え?
 あの娘一番人気だったのか?」
春彦は、店の中で綾子は目立つ存在だったことは気が付いていたが、一番人気だったことまではわからなかった。
「おい、まさか、春彦。
 お前、あの一番人気の子と?」
「ああ、友達になって違う店で飲んでたよ。」
春彦は、変に隠すことはせずに、さらった戸張の問いかけに答えた。
一瞬、戸張と端田は顔を見合わせ、すぐに、春彦の方に振り向いた。
「ちくしょー、何でお前ばっかり。
 こっちは、女の子たちに帰られて、やけ酒だって頼んだ酒がコース外のやつでさ、眼の玉飛び出るぐらい請求されたんだぜ。」
「4000円のコースの上に、1万円もプラス。」
「お前、少しくらい出せよ。」
「え?
だって、前金だって言って7000円渡したじゃないか。
それに、コース、4000円だったのか?」
春彦はどうせ女の子の料金を3人でカバーできるように高めに春彦に吹っ掛けたのは察しが付いていたが、わざと驚いたふりをした。
「え?
 あ、いや、その…。
 それよりさ、あの娘、今度紹介してよ。」
「そうだよ、今度、紹介してくれよな。」
端田と戸張は金額の内訳を春彦に説明していなかった上に、春彦だけ多めに上乗せしていたのがばれ、しどろもどろになり、話を逸らしていた。
(しかし、コース以外に二人で一万円も飲んだのか。
 呆れたもんだな。
 やけ酒なら、外の居酒屋にでも行けばよかったのに。)
そのクラブは、がぶ飲み相手ではなく、あくまでも社交場的なところを目指していたので、コース外の飲み物は高めに設定されていたのを、端田も戸張も会計になるまで知らなかった。
しかも、二人は、春彦と綾子が一気に男女の関係になったことまでは想像できていなかった。
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