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梅星

Author:梅星
社会人になっても、いつもいろいろな空想の世界を思い描いていました。
その中で、ずっと書きたかったお話(小説)をブログという世界を使って紹介させていただきます。
無理なく肩の力を抜いて続けていきたいと思いますので、楽しんでいただけたらと思います(毎週更新予定です)。
初めて読まれる方は、『あらすじ』も並行して読んでいただければ、読みやすいかと思います。
お楽しみください。

尚、文中の登場人物、会社等すべてフィクションです。


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DATE: CATEGORY:第10章 パラレルロード
春彦の顔は、実直な青年の顔であの邪悪な笑い顔はなかった。
「化け物め…。」
春彦の顔を見て小山は素直な感想を口にした。
「ひどいな、その言い方。
 思いっきり傷つきますよ。」
「しかし、あれだけの技と言おうか、体さばきは、あの館長から教わったのか?
 だとしたら、あの館長、すごい格闘家と言えるんだが…。」
館長とは春彦が小さなころから通っていた道場の館長兼師範代で、思想的におかしくなり、テロリストの集団を育成するようになったが、今では、春彦の打ちのめされ廃人同様で拘置所に拘留されていた。
「はい、あの人から習いました。」
「嘘をつけ…。」
今の拘留されている男から、そんな危険な匂いはしなかったし、内偵の段階でも利用されているだけの哀れな男にしか見えなかった。

「まあ、基本はあの人からで、あとは独学です。」
「…」
“そうだろう”と思ったが、明らかに傭兵やテロリストの養成機関で訓練を受けなくてはああいう体さばきは出来ないはずなので、“独学”と言うのも信じがたかった。
「で、すみません。
 小山さんが強かったので、つい本気になってしまって。」
「そりゃー、どうも」
完敗した後なので、お世辞にしか小山には聞えなかった。
「これで、今までお前が絡んできた事件の辻褄が全部あったよ。」
「…。」
春彦はきつい目で小山を睨んだ。

「ああ、大丈夫。
 誰が何といっても、殺気だけで人を廃人にするなんてことは、誰も信じないだろうし、しかも、訓練も積んでいない単なる学生が、あんな体さばきが出来るなんて、誰も信じないからよ。」
苦笑いする小山を見て、春彦は息を吐いた。
「で、お前の力量を良く判ったので、改めて頼むわ。」
「練習台ですか?」
「いや、実践指導の方だよ。」
「え?」
「今の世の中、だんだんテロが活発化してきて、今の組織プラス、警察の中でも対抗する頭も切れて体術や武器も使える精鋭を作っていかなければならないんだ。
その体術も、相手の気迫に押されたらなんにもならない。
その気迫に押されないためにも、そういう輩を目の辺りにして耐性をつけ、かつ、攻め込める体術を身につけなければならないと思っているのさ。
だから、お前の様な“恐怖の大魔王”が必要なんだ。」
「化け物扱いしたら、次は、大魔王ですか。
 “へっくしょん大魔王”でも“ちゃきちゃきマシン”のブラック大魔王じゃないんですからね。」
春彦は苦笑いをした。

「まあ、そう言うな。
 で、引き受けてくれるか?」
「…、ちょっと二人で話しませんか?」
春彦は、傍の婦人警官や医師の方をちらりと見ていった。
「わかった。
 先生、この娘はもう歩いたりしても大丈夫か?」
小山が婦人警官を指さし、医師に向かって尋ねた。
「ああ、大丈夫だよ。
 外傷もないし、何も変なところはないから。」
「じゃあ、悪いんだけど、二人でちょっと席を外してくれないか?
 俺は、まだ動くと痛みが走るから。」
「当たり前じゃ。
お前は、まだ安静だ。
じゃあ、外の喫茶店にでも、御茶でも飲みに行こうかな。」
そう言いながら、医師は婦人警官を連れて部屋から出て行った。
部屋には春彦と小山だけになった。

「で、なんだ?」
小山が切り出す。
「実は…。
最後の方、憶えていないというか、いや、何が起きているかは覚えているんですが、自分が自分でなくなったような…。
言ってしまえば、自分と別の自分が入れ替わったような感じなんです。」
「じゃあ、恐怖の笑い野郎がもう一人のお前だっているのか?」
「なんですか?
その“その恐怖の笑い野郎”って。」
春彦の問いかけに小山は春彦の変化、殺気が具象化してそう見えたことを説明した。
「そうなんですか…。
 思い当たらないこともないですが…。」
「……。」
「怒りが頂点に達した時とか、暴力的な衝動にかられた時、耳元で囁くんです。
 “全部解放して見ろ、気持いいぞ”って。
 それを聞くと、その後、何かと入れ替わったみたいに。」
「じゃあ、お前は、それをコントロールできないのか?」
春彦は黙って頷いた。
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