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梅星

Author:梅星
社会人になっても、いつもいろいろな空想の世界を思い描いていました。
その中で、ずっと書きたかったお話(小説)をブログという世界を使って紹介させていただきます。
無理なく肩の力を抜いて続けていきたいと思いますので、楽しんでいただけたらと思います(毎週更新予定です)。
初めて読まれる方は、『あらすじ』も並行して読んでいただければ、読みやすいかと思います。
お楽しみください。

尚、文中の登場人物、会社等すべてフィクションです。


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DATE: CATEGORY:第3章 佳奈の決意
「え?」
佳奈は、びっくりした声を上げた。
「うん。
 今度の日曜日、天気だったら、一緒に『中屋』に『鯛焼き』食べに行かないか?」
次の日曜日、春彦はいつものように佳奈に会いに行き、にこやかに言った。
「だって、私、歩けないのよ。」
「ん?
 車椅子があるじゃない。
 それに、中屋だったら、ここから20分も掛からないし。
 おれが、きっちりエスコートするから。」
「えー、春がぁ?」
「うん、俺が。」
佳奈は、しばらく考え込んでいた。
「春は、車椅子の私と歩くの、嫌じゃない。」
「嫌じゃないよ。」
「だって、車椅子って、結構大変なのよ。
 わかってる?」
「うん、わかっている。」
「……。」
佳奈は再び考えこんでいた。
「ちょっと、お母さんと相談するね。
 それから、返事するのでいい?」
「OK。
 いいよ。
 あっ、でも、決して無理しなくていいからね。」
「うん。」
佳奈は、頷いて答えた。
そして、その翌日、春彦の携帯に佳奈からメールが届いた。
『春へ
 中屋話しだけど、春彦が嫌じゃなければ、連れて行ってね。
 私も頑張って、車椅子漕ぐから。
 よろしくお願いします。
 佳奈』
メールの文面から、佳奈が緊張しているのが手に取るようにわかった。
『佳奈へ
 ぜんぜん、いやじゃないよ。
 エスコート、ばっちり、任せて。
 じゃあ、楽しみにしてるからね。』
春彦は、メールの返信を送った。
「はるー、ごはんだよー。」
舞がリビングから声をかけた。
春彦がリビングに行くと、ご飯の支度を終え、晩酌している舞がいた。
「春彦も、飲む?」
「うん、じゃあ、一杯もらうわ。」
「ビールなら冷蔵庫ね。」
「はいはい、妖しい銘柄の日本酒より、ビールの方が悪酔いしないからな。」
「ふん。」
舞は、不満げに春彦の言葉を鼻であしらった。
春彦が冷蔵庫からビールを取ってきて、自分のグラスに注いでいると舞が声をかけた。
「春、今度、佳奈ちゃんを外に連れ出すんだって?」
「え?
 もう知ってるの?
 佳奈に言ったの、昨日だよ。
 それに、連れ出すって言っても、中屋までだよ。」
「でもね、大騒ぎみたいよ。
 茂子から電話があって、佳奈ちゃん、何着ていこうか、とか。」
舞は、ケラケラ笑いながら言った。
「えー、高々、中屋に行って、『鯛焼き』でも食べて帰ろうと言ったのに。」
「いいじゃないの。
 これも、良い傾向の一つよ。
 何せ、病院以外の外に出る気になったんだから。」
「まあ、そうだね。
 佳奈、食いしん坊だから、『鯛焼き』で、釣られると思ったんだ。」
「ばか。」
舞は、頭を抱え込んでいった。
春彦は、何の事だかわからず、コップのビールを飲み干した。
「お前は、そういうところが、相変らず鈍いね。」
「え?」
「まあ、いいや。」
舞は、苦笑いして言った。
「で。
ちゃんと、エスコート出来るんだよね。」
「ああ、一応。
 坂道とかは、車椅子を押してやるとか。」
「それだけ?」
「え?」
舞は、真顔になった。
「いいかい、佳奈ちゃんは、以前と違って、何するのも大変なんだよ。
 例えば、トイレに行きたくなったらどうする?
 一人で、何とか用を足せるようになっても、外では勝手が違うんだよ。
 車椅子がオッケ―のトイレじゃないといけないし、何かあっても、一人じゃ対処できないんだよ。
 車椅子だって、段差があったら倒れるかもしれないじゃないか。
 だから、佳奈ちゃんが進む道をちゃんと先に見て、段差や穴ぼこがあったら、道を迂回するとか、お前が、車椅子ごと持ち上げるとかしないと。」
「……。」
春彦は、黙って舞の話を聞いていた。
確かに、舞の言う通り、自分は簡単に考えすぎていたことを、後悔していた。
「いいかい、特に、病院という決まったルートじゃないし、知っている町並み、道にしたって車椅子では初めてなんだからね。
それに車椅子からの景色は、普通の時とは違うんだからね。
 最新の注意を払わなきゃだめだよ。
 いくら幼馴染の佳奈ちゃんといっても、よそ様のお嬢さんなんだよ。
 何かあったら、大変なんだからね。」
「そうだね、ちょっと、軽率だった。」
春彦は、真顔で言った。
「いいかい、自分が車いすに乗っていたらと言うことをよくよく考えて行動しなさいよ。」
「はい。」
春彦は、かしこまって返事をし、コップにビールを注いで、一口、飲んだ。
「でもね、佳奈ちゃんには、良い刺激なんだから、あんたにしちゃ、よく考えたもんさ。
 それは、褒めてあげるよ。」
舞は、顔を崩して言った。
それから、夕飯を食べ、春彦はベッドに横になった。
そして、足を使わないように、ベッドから椅子に移ろうとした。
が、どうしても足に力が入り、うまく、腰から上だけで移ることはできなかった。
「佳奈は、もっと大変なんだよな…。
 車椅子か。」
春彦は、ベッドに仰向けに横たわり、ぶつぶつ言いながら考え事をしていた。

日曜日は、朝からいい天気で、暑くもなく、いい陽気だった。
春彦が、佳奈の家に迎え見行くと、佳奈は玄関の内側で、すでに車椅子に乗って待っていた。
佳奈は、白いワンピースと麦わら帽子をかぶっていた。
「佳奈、お待たせ。」
「春、今日は、よろしくね。」
春彦が声をかけると、佳奈は、にこやかな顔で返事をした。
茂子も傍にいて、少し心配そうな顔をしていた。
「佳奈、大丈夫?
 お母さんも、着いていこうか?」
「やだー、大丈夫よ。
 春が、ちゃんとエスコートしてくれるって言ってくれてるし、それに、中屋の『鯛焼き』は口に合わないんでしょ。」
佳奈が、笑いながら言った。
「そうだけど……。」
茂子は、そういわれて口籠った。
「おばさん、大丈夫ですよ。
 ちゃんと、エスコートしますから。」
春彦がにこやかに言うと、茂子はあきらめた顔をした。
「じゃあ、よろしくお願いしますね。
 佳奈も、何かあったら、すぐに連絡しなさい。」
「はーい、じゃあ、出発!」
佳奈は、車椅子を自分の手で動かし、玄関を出た。
春彦は、そんな佳奈の横に付き添った。
佳奈の家の門をくぐろうとした時、佳奈は車椅子を止め、躊躇しているようだった。
春彦は、そっと佳奈の後ろに回り、車椅子の後ろの取手に手を掛けた。
「慣れるまで、ゆっくり押してやるよ。」
春彦が優しく声をかけた。
「うん。」
佳奈は、身体をねじって春彦の方に向いて、笑顔で返事した。
春彦も、佳奈が体をねじるほうに、自分の身体を倒し、佳奈がすぐに自分を見れるように気を配った。
「じゃあ、再び、出発。」
今度は、春彦が号令をかけ、ゆっくりと車椅子を押して門の外に出ていった。
茂子は、やはり心配そうな顔で二人の後姿を見送った。
「どう、久し振りの外の気分は。」
「うん、やっぱり、外はいいわ。
 特に、今日は天気もいいし。」
佳奈は弾んだ声で応えた。
「そうだね。」
春彦は、そういいながら車椅子の進む方向に細心の注意をしていた。
取りあえず、前日はリハーサルとして、一人で佳奈の家から、『中屋』までの道を歩き、段差やくぼみがないか、チェックはしていたが、やはり、何か障害物が落ちているかもと注意をしながら、車椅子をゆっくり押していた。
佳奈は、両手を結んで前に伸ばし、伸びのようなことをした。
「いつもね、一人で必死に漕いでいるんだよ。
 だから、今日みたいに何もしないって、何か新鮮。
 ただ、景色がいつもと違うの。
 何か、小学生の時ってきっとこうだったのかなぁ。」
車椅子に乗ると、佳奈の頭位置は、小学生の高学年の子供位の高さだった。
「通いなれた道でも、やはり景色が違う?」
「うん。」
少し、佳奈は口籠った。
「どれどれ。」
春彦は、車椅子を押すのをやめ、後ろから佳奈の顔の横に自分の顔を出し、佳奈の視野で周りを見渡した。
「本当だ。
 植え込みも花とか、真近で見れるね。
 いつもは、視線の下であまり感じなかったのに。」
「本当だ。
 言われてみたら、そうね。
 この風景も、これはこれでいいかも。」
佳奈は、ご機嫌を取り戻した。
「さあ、もうすぐ、『中屋』だよ。
 今日も、餡子でいいのかな?」
「ねえ、春。
 鯛焼き買ったら、いつも通った公園で食べたい。」
佳奈は、お願いするような声で言った。
「わかってますよ、お嬢様。
 はなから、そのつもりでした。」
「さすが、はる!」
佳奈は、ぱっと明るい顔をして言った。
2人が中屋に行くと、昔から応対してくれるおばさんが出てきた。
そして、車椅子の佳奈を見つけると、近寄ってきた。
「あれ?
佳奈ちゃんじゃない。
久し振りだねー。
で、どうしたの、車椅子で。
何かスポーツやって怪我したんでしょ。
バレーボールかい?
最近、ナデシコちゃっちゃっちゃとか言うの流行っているからね。
気をつけなきゃだめだよ。」
「おばさん、それ、ニッポンチャチャチャよ。」
佳奈がケラケラ笑いながら言うと、やだよといっているように、中屋のおばさんは、手を振った。
それから、2人は鯛焼きを買い、公園に向かった。
鯛焼きは佳奈が持ち、膝の上に置いていた。
「うーん、鯛焼きのいい匂い。
 つまみ食いしたくなっちゃった。」
「こら。
 もう少し、我慢しなさい。」
春彦は偉そうにして言った。
「はーい。」
佳奈は、舌を出して返事した。
「しかし、『中屋』のおばちゃん、相変らずだったよね。」
「ああ、まったくすっ呆けて、何がナデシコちゃっちゃっちゃだよ。
 しかも、“ちゃっちゃっちゃ”だよ。」
「昔から変わらないよね。」
2人は声を出して笑った。
「でも、普通に怪我しているように見えたんだ。
 しかも、すぐ直るような…。」
一笑いした後、佳奈が考え深げに言った。
「そうだね。
 だから、良くなるよ。」
「うん。」
佳奈は、微笑んだ。
公園に着くと、いつものベンチのところに行き、佳奈は車椅子で、春彦はベンチに腰掛けた。
ベンチに座ると、いつもの高さに佳奈の頭があるようだった。
「わー、ここからの景色は、変わらないわね。」
「そうだね。」
「ここからの眺め、結構好きなんだ。
 ほら、あそこに通ってた中学校があるでしょ。」
公園から正面は、いったん窪地になり、また、丘のように登っていく、その中腹に学校があった。
「なんか、海外の番組でよく紹介されている地中海あたりで、こんな感じに丘の中腹にきれいな街並みがあるじゃない?
 そんな感じがするの。」
佳奈の視線の先には、丘の中腹は新興住宅街で白を基調としたきれいな家が多く立っていた。
春彦は、その風景を見ながら興奮気味に話をしている佳奈を優しく見つめながら相づちを打った。
「そうだね。
 結構、白い色の家が多いから、そう見えるね。」
佳奈は、視線を風景から膝の上の鯛焼きに移した。
「あー、鯛焼き食べるの忘れてた。」
「食いしん坊の佳奈にしちゃ、珍しいな。」
「言ったなぁ、春には渡さないからね。」
「おいおい。」
2人はふざけあって、鯛焼きを頬張った。
「うーん、おいしいー。
 うちで食べるのもいいけど、こうやって外で食べるのも、格別においしい。」
佳奈は、嬉しそうに言った。
そんな佳奈を、春彦は嬉しそうに見つめていた。
「さあ、そろそろ帰らないと、おばさん心配してるからね。」
食べ終わって、一息ついた後、春彦は切り出した。
「うん。
 おかあさん、結構心配性だから、そろそろ帰らなくちゃ。
 でも、今日は、いろいろあって楽しかったなぁ。
 春、ありがとう。」
「どういたしまして。
 また、ちょくちょく、来ような。」
「うん!」
佳奈は、力強く頷いた。
帰りは、途中から平坦な道だったので、佳奈が自分で動かすと言い出したので、春彦は佳奈の横について歩いてた。
ただ、片手はそっと、車椅子の取っ手の近くに添えていた。
佳奈は、余程楽しかったのか、帰り道の間中、昔のように、他愛のない話を止めどもなくしていた。
春彦は、そんな佳奈が嬉しかった。
「たっだいまー。」
佳奈は、家に帰ると茂子に明るい声で言った。
「まあ、上機嫌な事。
 楽しかった?」
「うん、とっても。」
「春君、ご苦労様。
 ありがとうね。」
ほっとしたように、茂子は言った。
「さあ、じゃあ、家の中に。」
茂子は家の中で使う車椅子を用意してきた。
「うーん、これが面倒なのよね。」
佳奈は、ちょっと不平を言った。
玄関で外用の車椅子を降りて、玄関を上がり、家の中で使う車椅子に乗り換えるのは、大変な苦労だった。
「どれどれ。」
春彦は佳奈の背中と脚に手を差し込んだ。
「?!」
突然のことで佳奈は声を失った。
茂子も、呆然と見ていた。
「よっと。」
掛け声とともに春彦は佳奈を抱き上げた。
「きゃっ。」
佳奈は思わず、春彦の首に腕を回しかじりついた。
春彦は佳奈を“お姫様だっこ”をして、車椅子から持ち上げ、玄関を上がり、そーっと家の中の車椅子に佳奈を下ろした。
「……。」
佳奈は、しばらく茫然としていた。
そして、小さな声で「ありがとう。」と言った。
「どういたしまして。」
春彦は、笑顔で答えた。
「また、いこうな。」
春彦の声に、佳奈は万遍の笑みを浮べ答えた。
「うん。」
茂子は、しばらく、そんな二人を眺めていて、心配が取り越し苦労だったことを実感した。
春彦が、常に佳奈に気を配っていたことは今の態度で嫌というほどわかった。
茂子や佳奈に家に上がっていかないかと勧められたが、春彦は久し振りの外出で佳奈が疲れているだろうからと、丁重に断り、佳奈の家を後にしたが、気持、後ろ髪を引かれる思いをしていた。
腕には、まだ、佳奈の感触が残っていた。
「佳奈って、あんなに軽かったんだ。
 それに、やっぱり、いい匂い…。」
「くすっ」と誰かに笑われた気がして、はっと春彦は周りを見渡した。
一陣の心地よい風が、春彦の傍を通り抜けていった。

春彦が帰り、佳奈は自分の部屋で部屋着に着替えベッドの上でくつろいでいた。
茂子は、佳奈の着替えとか手を貸した後、お茶を持ってくるねと部屋を出ていった。
そして、お茶を持ってきて、佳奈に今日のことを尋ねた。
佳奈は、待ってましたとばかりに、楽しかったこと、鯛焼きがおいしかったこと、鯛焼き屋のおばさんが面白かったことなど今日起こったことを、顔を上気させて話した。
茂子は、相槌を打ちながら、生き生きとしている佳奈を見て、うれしくてたまらなかった。
そして、話しは最後の“お姫さまダッコ”に話が及んだ。
「もう、いきなりで、びっくりしちゃった。
 春ったら……。」
佳奈は、顔が熱くなるのを感じた。
「あらあら、いいわねー。
 わたしなんて、一樹さんにやってもらったことあったかしら?
 で、どうだった?
 抱っこされた感想は?」
茂子はからかうように聞いた。
「えー、びっくりしたけど……。
 春って、たくましかった……。」
佳奈は顔を真っ赤にしながら、最期の言葉は消え入るような声になっていた。
「え?
 何?
 なんていったのかな?」
茂子はからかうように言った。
「もう、お母さんたら。
 妹の特権よ!」
佳奈は、茂子を叩くふりをした。
「えー?
 妹?」
「うん。
 悠美姉の弟妹だもん。
 春が最初に悠美姉の弟になり、私がその次だから、兄妹になった順で、私が妹!」
「まあまあ、その妹さんが赤くなってること!」
しばらく、佳奈と茂子の笑い声は絶えることがなかった。

春彦は、家に帰って、舞に無事に連れて帰ったことを説明した。
「でも、どうせ、すぐに茂子さんから報告が入んでしょ。」
「まあね。
 茂子も毎日大変だけど、佳奈ちゃんが日増しによくなっていくので、それが元気の源になっているみたいよ。
 もう、しょっちゅう電話で、今日は佳奈ちゃんどうだったとか、あーだのこーだの、ほぼ一方的ね。」
「でも、気持はわかるよ。
 それに、母さん相手だから尚更でしょ。」
舞は、まんざらでもない顔で「まあね」と言った。
「そうだ、春彦君。
 次のプランは、考えてるの?」
「うーん、ノーアイデアってとこかな。」
「だめだねー。」
と話している側から電話がなった。
「噂をすれば。
 やっぱり、茂子よ。」
舞は、受話器を取って話しはじめた。
「いったい、この二人の電話代は、どうなっているのやら…。」
春彦は苦笑いしながら、自分の部屋に戻った。
そして、ベットに仰向けに寝転んだ。
「次ねー。
 佳奈の喜ぶところか…。」
リビングの方から、舞と茂子が電話で話している声が聞こえた。
「えー、春がそんなことしたのー。」
舞の素っ頓狂な声で、春彦は、佳奈を“お姫さまダッコ”したことが報告されていることを察した。
「やば…。」
春彦は、布団をお頭から被りながら、佳奈を抱き上げた時の柔らかな感触や、佳奈のいい匂いを思い出していた。
それから、電話が終わった後、舞に部屋を急襲され、さんざっぱら、“お姫さまダッコ”の件でからかわれまくられた。
「そうそう、じゃあ、ダッコの王子様にいいこと教えてあげる。」
「ダッコの王子は余計!」
春彦は、少しむくれて言った。
「まあまあ。
 そう、いいことはね、佳奈ちゃん、ちゃんと車椅子でも使える施設って、わかるよね?
 それがあれば、介助の手がなくても大丈夫になってきたんだって。
 どう?
 次のプラン、範囲が広がったでしょう。」
「じゃあ、少し遠くても、きちんとした施設があればオッケーなんだ。」
「そうよ。
 佳奈ちゃんの外用の車椅子、確か畳めるから、近場なら家の車でも大丈夫と思うわよ。」
「そっかー、サンキュー。」
「じゃあ、しっかり考えなさいね。
 ダッコ王子!」
「うるさい!」
舞は、言いたいことを全て言って部屋を出ていった。
「そっかぁ、いろいろと範囲が広がってきたのか。」
春彦は、思わずニヤニヤしながら独り言を言った。
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