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梅星

Author:梅星
社会人になっても、いつもいろいろな空想の世界を思い描いていました。
その中で、ずっと書きたかったお話(小説)をブログという世界を使って紹介させていただきます。
無理なく肩の力を抜いて続けていきたいと思いますので、楽しんでいただけたらと思います(毎週更新予定です)。
初めて読まれる方は、『あらすじ』も並行して読んでいただければ、読みやすいかと思います。
お楽しみください。

尚、文中の登場人物、会社等すべてフィクションです。


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DATE: CATEGORY:第3章 佳奈の決意
春彦が家に帰ると、舞が待ってましたと言わんばかりに声をかけてきた。
「おかえり。
 いっしょに飲もうと思って待ってたよ。
 顔や手を洗って、早くおいで、おいで。
 おーっと、うがいも忘れずにね。」
「何が、待っていただよ。
 もう、飲んでいるんじゃない。」
春彦は、半分出来上がっている舞を見て苦笑した。
「そうだよ、飲んで、待っていたんだよ。」
「やれやれ……。」
春彦は、洗面所で顔を洗い、キッチンでお酒用のコップを持って、テーブルで待つ舞のところに行った。
「よいしょ、っと。」
春彦が座ると、待っていたかのように舞がお酒を注いだ。
「待ってました。
今日は、“紅顔の美少年”って銘柄だよ。」
春彦は、銘柄を聞いて、なぜか先の公園で佳奈に抱いた感情を思い出し、少し恥ずかしくなった。
「あれ?」
舞は、鋭く何かを感じ取って声を出した。
「まあまあ、じゃあ、乾杯!」
春彦は、詮索されないよう、話をそらしていた。
「そうだ、つまみは?」
「イカ干しとエイヒレが、あるよ。
 炙って持っておいで。」
「了解。」
そんな会話があって、春彦がつまみの用意をし、落ち着いて飲み始めた。
「茂子から、早速、電話があったよ。
佳奈ちゃん、中断していたリハビリを頑張って再開するって、茂子に言ったんだって。
茂子、大喜びで、春が何の魔法を掛けたのかってさ!」
手短に、佳奈が心のうちを春彦に話したこと、それで、心が軽くなったのか、前向きな態度に変わったことを説明した。
但し、佳奈を抱きしめたことは内緒であった。
「ふ~ん、そうだったんだ。
 佳奈ちゃん、我慢しちゃうからね。
 溜め込みすぎて、にっちもさっちもいかなくなっちゃったんだね。
 そこへ、ボケーっとしたお前の顔を見て、思わず弾けたんだろうね。」
「多少、言っている内容に憤りを感じないことはないけど、まあ、いいか。
 そんなとこかなぁ。」
「まぁ、これで、何とか、佳奈ちゃんがスタートラインについたことには、かわりないね。
 あの子は、芯の強い子だから、一度、自分で決めたことは、やり通すだろうね。
 でも、いつ、元のように歩いたりできるか、こればっかりは、わからないよ。」
酔いが回ってきたのか、舞は、少し涙声になっていた。
「……」
春彦は、舞の話を聞く一方で、お酒を飲みながら、思いを巡らしていた。
(確かに、母さんの言うように、リハビリをやっても、元のように戻るかは、わからないか。
 あんなに明るく、一緒に歩いていたのに。
 あんなことがなければ、今、どうなっていたんだろう)
「そうそう、春彦。」
「えっ?
 なに?」
自分の思いに浸っていた春彦は、舞から不意に名前を呼ばれ現実に戻っていた。
「大丈夫だと思うけど、可哀想だからとかで、佳奈ちゃんに手を出したりしちゃ、ダメだよ。」
「なっ、なにを急に。
 そんなこと、するわけないよ。」
佳奈を抱きしめた感触を思い出し、春彦は焦って否定した。
「ともかく、何があっても、手を出したりしたら許さないからね。」
「う、うん。」
何か舞の言うことに、春彦は釈然としなかった。
(なんだろう。
 リハビリの邪魔になるからかな。
 これからが、大変だから、かな?)
その後、舞と春彦は、ひとしきり他愛もない話で盛り上がっていた。
「さて、眠くなったから、先に寝るよ。
 後片付け、お願いね。」
「はいはい、じゃあ、おやすみ。」
「おやすみー。」
春彦は、舞を見送り、自分のコップにお酒を注ぎ、飲みながら、今日のこと、舞の言ったことを考えていた。
ブルブルっと、春彦の携帯がなった。
春彦は、携帯をマナーモードにしてあったことを思い出した。
携帯を見ると、佳奈からメールが入っていた。
(何年振りだろう)
別々の大学に進学し、一時期、佳奈とは疎遠になっていた。
その時、たまに、メールのやり取りをしたくらいで、それからは、ご無沙汰状態だった。
メールを開くと、『佳奈だよー!』という件名で、次のような本文がかかれていた
『今日は、愚痴を聞いてくれて、ありがとう。
おかげ様で、元気になりました。
リハビリ頑張るからね、応援してね。
で、春にお願い。
リハビリのことを、たまに、メールで報告するから、いやがらないで見てね。
春に、報告すれば、辛くても続けられると思うの。
だから、よろしくね。
あと、鯛焼き、おいしかった。
やっぱり、中屋だよね。
あの餡子、久々で、すごく美味しかった。
また、買ってきてね。(^_-)-☆
じゃあ、おやすみなさーい。』
(はいはい、また、買っていきますよ。
 でも、太ったってしらないからなぁ)
春彦は、心の中で、佳奈に話しかけながら、メールの返信文書を打ち込んだ。
『OK!
 いつでも、メールしていいからね。
 楽しみに待っているから。
 鯛焼きの件も了解です。
でも、体重の超過に気を付けて。
じゃあ、おやすみ』
(ぽちっとな)
と送信ボタンを押し、メールを返信した。
(佳奈、頑張れよ。)
春彦は、いろいろと思いあぐねていたことを全て、佳奈からのメールで忘れたようだった。
(さて、俺も、がんばらなくっちゃ。
まずは、ここの片づけっと)
夜は、深々と更けていった。

佳奈は、翌日から病院でリハビリを開始した。
翌日、茂子が病院に電話したところ、すぐにでも再開したほうがよいということで、急きょ、佳奈とタクシーで病院に向かった。
出迎えたのは、佳奈を担当してきた医師の岩崎とリハビリ担当の医師の戸田だった。
加奈を含め、4人で今後のリハビリプランの話をして、早速、リハビリが開始された。
マッサージや、平行棒を使っての歩行訓練と、佳奈にとっては、想像も絶するくらいにかなり辛いリハビリだった。
しかし、以前と違い、佳奈は辛いながらも懸命に取り組んでいた。
茂子は、そんな佳奈を見つめるだけしかできない歯がゆさを感じていた。
初日が終わり、着替えをすまし、帰りのタクシーの中で茂子は、佳奈に話しかけた
「ご苦労様、頑張ったね。」
「うん、頑張ったよ。
何とか、歩ける様になるといいんだけど。」
心細そうな佳奈の声を聴いて、思わず茂子は声を強く言った。
「何言ってるの!
 まだ、始めたばっかりでしょ。
 それに、絶対に歩ける様になるから、気持を強く持つのよ。」
そんな茂子の励ましに、少し驚いたが、すぐにうなずいて見せた。
「そうよね、頑張らなくっちゃ。
 まだ、今日が初日だもんね。」
(ほんと、弱音を吐くのは早すぎるし、春と約束したんだから)
佳奈は、自分に言い聞かせるように小さく頷いた。
「そうだ、帰ったら、春にメールでご報告っと。」
「あら、佳奈ちゃん、嬉しそうね。」
「そうよ、だって、また、おいしいものを持ってきてもらうんだから。」
「いや、そういうのじゃなくて…。」
と、言葉を濁す茂子に向かって、佳奈は笑い飛ばした。
「何言ってるの、お母さん!」
家に帰り、茂子と一緒にシャワーを浴び、佳奈は自分の部屋のベッドで横になった。
「ふう、今日はつかれたなぁ。
 寝ころびながら、佳奈は、携帯を取って、春に、ご報告のメールを打ち始めた。
『春へ。
今日から、リハビリスタートです。
朝、お母さんが病院に電話したら、早いほうが良いって、今日からになりました。
急いで、ジャージやトレパン持って、病院に行ったんだよ。
リハビリの先生が出てきたんだけど、覚えてる?
高校の時の歴史の先生で、むきむきマッチョマンの戸田先生。
その先生にそっくりなムキムキマッチョマンて感じの先生で名前も戸田先生って言うの。
その先生から、リハビリのやり方の説明を受け、みっちり2時間。
歩行訓練で、伝え歩きだとか、いろいろでした。
だから、今日はお腹がすいたのと、疲れて眠くなってます。
春は、お仕事頑張ってますか?
加奈も頑張っているので、春も頑張ってね。
まずは、初日のご報告でした!
佳奈』
(送信!)
佳奈は、送信ボタンを押して春にメールを送った。
(お腹すいたなぁ…)
と、考えながら、佳奈は疲れからか眠り込んだ。

ブルブルと、春彦の携帯がメールの着信を伝えた。
春彦は、いつも、携帯をマナーモードにしているので、バイブの音と振動だけで、たまに気が付かないことがあり、よく舞から買い物を頼まれるのだが、気が付かないで帰り、思いっきり怒られることが、多々あった。
今日は丁度仕事が一区切り付き、背伸びをしていたところだったので、メールが届いたことに気が付いた。
(誰からだろう。
 また、舞さんからの買い物メールかなぁ)
何て考えながらメールを見ると、それは、佳奈からのメールだった。
(おっ!?早速、なんだろう)
春彦は、メールを読みながら、佳奈がリハビリを開始したことを知った。
(返信、返信と)
早速、春彦は佳奈にメールを打ち始めた。
『佳奈へ。
 随分と早く始まったんだね。
 でも、早く始まって良いと思うよ。
 負けないで頑張ろうね、俺も、いつでも応援してるから。
 お腹すいたって?
 いいことじゃん、たくさん食べて、ゆっくり休むんだよ。
 こっちも、仕事頑張ってるからね。
 でも、リハビリの先生がこともあろうに、あの戸田先生似だって?!
 今度見てみたいな。
 また、報告メールよろしく!』
(ぽちっとな)
春彦は、佳奈に返信メールを送り、大きく伸びをした。
(そうか、いよいよ戦闘開始か。
 佳奈、がんばれ!)

佳奈の部屋では、茂子がお腹をすかせた佳奈のためにお菓子を持って部屋に入ってきた。
そこで、うたた寝をしている佳奈を見つけ、お菓子や御茶の入っているお盆を机の上に置き、佳奈の枕元に坐り、髪を優しく撫でた。
(あらあら、佳奈ちゃんたら、うたた寝しちゃって。
 でも、無理ないわね。
 リハビリ大変だものね。
 早く、良くなるといいんだけど。
 頑張るのよ、可愛い佳奈)
髪を撫でながら、そう心の中で言っていると、佳奈の携帯がメールの着信を告げるメロディが、小さい音でなった。

「はる~」
佳奈が寝ぼけて春彦の名前を呼んだ。
「あらあら。」
思わず、茂子は笑い出し、それをきっかけに佳奈を起こしはじめた。
「ほら、佳奈ちゃん。
 お腹減ったでしょ。
 夕飯には、まだ時間があるから、お菓子を持ってきたわよ。
 起きて、食べない?」
「あ、お母さん?
 うん、食べる」
佳奈は、寝ぼけ眼をこすりながら、だんだんと目が覚め、今がどういう状態かを理解し始めていた。
二人は、お菓子を食べ、お茶をしながら今日のリハビリのこととかを会話していた。
ふと、茂子は、佳奈の携帯が鳴ったことを思い出した。
「佳奈ちゃん、さっき、携帯なってたわよ。」
「えっ?
 ほんと?
 きっと、春からだ。
 さっき、今日のリハビリのことをメールしたから、その返信だよ」
「へー、何て書いてあるの?」
「だめっ!
 誰にも見せないもん。」
笑いながら佳奈はメールを開き、読み始めた。
そこには春彦から素っ気ないメールだが、佳奈にとっては嬉しく、元気になっていくようであった。
「うんうん。」
佳奈は、にこにこしながらメールを読み終わり、携帯を閉じた。
「ねえねえ、何て書いてあったの?」
興味津々と茂子は尋ねた。
「内緒だもん。」
佳奈は、楽しそうに答えた。
「そういえば、ほかのお友達とは、連絡を取っていないの?」
「うん、もう少し、良くなってからね。」
佳奈は、心なしか小さい声で答えた。
(やっぱり、今の状態を見せたくないんだわ)
茂子は、佳奈の心中を感じ、それ以上、この話題には触れることは止めた。
佳奈は、事件の時に携帯電話を壊され、自宅に帰ってから携帯電話を買換え、メールアドレスも変更し、誰にも教えていなかった。
この前、春彦が見舞いに来た時に、春彦にだけ気分を変えたいからと称して、メールアドレスを変更したことと、新しいメールアドレスを教えただけだった。
「お母さん、やっぱり、お腹がすいてきちゃった。
 今日のおかずは何?」
「そうね、今日は佳奈の好きなハンバーグと、煮物にしようと思って。」
「やったー、楽しみに待ってるから。」
そういう会話をしていて茂子は、佳奈が学生時代の佳奈に戻ったような気がして、少し嬉しくなっていた。
「よーし、腕によりをかけて、美味しいハンバーグをつくるかぁ」
「やったー、楽しみー!」
明るく茂子が言うと、佳奈も明るい笑顔で答えた

それから、平日の昼間は茂子に付き添ってもらいリハビリに通い、家に帰っては、自分の力で身の回りのことや、松葉づえや車いすで家の中を移動できるように、佳奈は練習を繰り返した。
そして夜は、今日あったことを簡単にだが、春彦にメールで報告するのが、いつしか日課になっていた。
春彦は、そんな佳奈のメールを毎日楽しみにし、感想や励まし等、他愛のない内容の返信をするのを日課として、週末は、土日のどちらかは、佳奈に会いに家を訪ねていた。
最初のころは、佳奈に会うと、おでこや体のあちらこちらに痣ができていることに驚いた。
が、佳奈から一人でベッドから降りて車いすに乗ったり、車いすからベッドに移る練習で転びまくっていることを聞いて納得はしたが、気が気ではなかった。
「佳奈、そんなに痣作って、大丈夫か?」
「うん、それより、大分、自分で出来るようになってきたの。
 見てみて。」
佳奈は、両脚にギブスをし、それを支点に松葉づえを使ってうまく、立ち上がれるようになっていた。
そして、体を入れ替え車いすにお尻から倒れこむように腰を下ろした。
「おっ、すごいじゃん。」
「えへへへ、でも、たまに目測を誤って車いすごと転がっちゃうことがあるの。」
佳奈は照れ臭そうに言った。
そして、今度は逆に車いすから立ち上がってベッドに戻った。
春彦は、佳奈が立ち上がるとき、車いすが動かないように、そっと抑えていた。
「ありがとう。」
佳奈は、抑えていてくれた春彦に言った。
「それで、この痣か。」
「うん、脚にもたくさん痣があるんだよ。」
佳奈はトレパンを腿までまくり上げて見せた。
言う通り、脚のあちこちに痣があった。
「痛そうだな。」
「うん、でも、感触がないんだ…。」
佳奈が、少し沈んだ声で言った。
「そっかぁ。」
春彦は、佳奈の足の痣に手を置いた。
「こらこら、いきなり何するの…。」
佳奈は、いきなり春彦に足を触られびっくりしたが、急に、言葉を止めた。
「?」
春彦も、いくら幼馴染といえ若い佳奈の足に手を置いたことに気が付き、急いで手をどけようとした。
「あたたかい…。」
佳奈が、ぼそっと言った。
「え?
 まあ、良く手は暖かいと…。」
春彦は佳奈が何を言おうとしているか察した。
「佳奈、わかるのか?」
「うん。」
「もう一回、足、触っていいか?」
「うん。」
春彦は佳奈の足首の辺りを触った。
「感触はないんだけど、暖かいのはわかるわ。」
「じゃあ、ここは?」
春彦は、今度は佳奈のふくらはぎを手で包み込んだ。
「暖かい!」
「じゃあ、ここは?」
春彦は、腿を手で包み込んだ。
「暖かい…。
 でも、はる、恥ずかしい…。」
最後は消え入るような声で佳奈は言った。
佳奈の顔は、恥ずかしさで赤みを差していた。
「ごめん。」
春彦も、赤面しながら手をどけた。
「でも、暖かいっていう感覚が戻ったんだ。」
春彦が言うと、佳奈は涙ぐみながら笑顔で頷いた。
このことは、佳奈をはじめ、茂子や一樹に大いに希望を与えるものだった。
茂子は特に大喜びして、早速、担当の医師の岩崎に電話で報告した。
岩崎も、驚いたように、希望が出てきましたねと電話口で話した。
茂子は、その日、ずっと、佳奈の脚をさすって、何度も何度も「暖かい?」と佳奈に尋ねた。
佳奈は、そんな茂子を見て「いやだ」とも言えず、笑って頷いていた。

春彦が、大喜びの佳奈の家から自宅に帰ると、舞が出迎えた。
「今、大騒ぎの茂子から電話があったよ。
 佳奈ちゃんの脚、少し、感覚が戻ったんだって?」
「ああ、触られて暖かいっていうのが感じたみたいだよ。
 茂子さん、お医者さんに早速電話したら、凄く良い兆候だって言われ飛び跳ねていたよ。」
春彦が、思い出したように笑って言った。
「そうそう、茂子が電話でも盛んに言ってたよ。
 良かったね。
 じゃあ、祝杯と行こうか!」
「そうだね、今日は祝杯ということで、お付き合いしますよ。」
春彦が笑って言うと、舞は急に春彦の方を振り向き、見上げるようにして言った。
「ところで、君が触ったんじゃないでしょうね?」
「え?
 まあ、その…。」
春彦は、頬が熱くなるのを感じ、返事もしどろもどろになっていた。
「あらら、赤くなってるよ、この子は。」
舞は、ニヤニヤしながら春彦をからかった。
「さあ、着替えておいで。
 祝杯じゃあ、祝杯!」
「はいはい。」
たまらんなぁと春彦は思いながら、部屋に着替えに戻った。
ふと、携帯に目をやると、メールが入っていた。
「誰からだろう?」
春彦は、メールを見ると、それは佳奈からだった。
『春へ
 今日は、ありがとう。
 春彦のおかげで、足の感覚を一つ、取り戻すことが出来ました。
 お母さんたら、喜んで、あれからずっと私の脚を触っていたのよ。((´∀`))ケラケラ
 もっと、もっと、良くなるように頑張るからね。
 これからも、よろしくね。』
簡単な内容だったが、佳奈の喜びが詰まっている気がした。
春彦は、少し考えて、メールの返信を打ち始めた。
『佳奈へ
 よかったね。
 一生懸命、リハビリしている成果が出てきたね。
 これからも、いつも、応援しているからね。
 あと、お母さんに触りすぎると火傷するからって言ってみたら(笑)。
 また、行くからね。
 今日は本当に良かったね。
 おやすみ。』
春彦は、返信してから、舞の待つリビングに戻っていった。
春彦は、台所から自分のコップを持って、舞のいるテーブルに腰掛けた。
舞は、にこにこしながら、春彦のコップにお酒を注いだ。
「さて、今日のお酒の銘柄は何でしょう?」
いぢわるっぽく舞は尋ねた。
「え?
 うーん、『熟女のため息』ですか。」
春彦は、自分で言っていて、赤くなった。
「おー!
 お前も言うようになったわね。
 残念でした。
 今日のお酒は、『処女の感触』でした。」
ぺろっ、と舌を出して舞は言った。
「嘘つけ!」
春彦も笑いながら答えた。
「でも、退院してから3か月か。
 そう思うと、佳奈ちゃん、順調に回復してるわね。
 これなら、歩ける様になる可能性が高くなるわね。」
「そうだね。
 佳奈は、がんばっているからなぁ。
 体中、痣作ってるんだよ。
 一人で、車いすに乗ろうと練習して。」
「茂子が言っていたわ。
 最初、派手な音が佳奈ちゃんの部屋から聞こえ、ハラハラしていたって。
 最近は、派手に転がる音が少なくなったって。
 ん?
 それで、君は、その痣を触ろうとして、思わず、佳奈ちゃんの恥ずかしがるところに手を!」
「そんなことないよ!
 まったく、妄想だけは激しいんだから。」
春彦は、怒った顔をしていった。
「あとは、気分転換に外に出れるようになれば、また、気が変わるんだけど。」
春彦は、少し考え気味に言った。
「そうなんだ、佳奈ちゃん、まだ、病院以外に外に出ようとしないんだ。
 お友達と会ったりしないの?」
「そうみたいだよ。」
「ふーん。
 心も、一歩一歩かな。」
「だろうね。
 まあ、佳奈のことだから、その内、何とかなるんじゃないかな。」
「おー、まるで他人事。」
「そうじゃないよ、あいつ、昔から社交性はあるから、良くなればじっとできなくなるって。」
「じゃあ、君が、また、そのきっかけを作ってあげたら?」
「え?」
意外な舞の言葉に、春彦は戸惑った。
「そうか、きっかけか…。」
舞の言葉に、春彦はいろいろと考え始めた。
舞は、お酒を口にしながら、ニヤニヤ笑い、春彦を見ていた。
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