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梅星

Author:梅星
社会人になっても、いつもいろいろな空想の世界を思い描いていました。
その中で、ずっと書きたかったお話(小説)をブログという世界を使って紹介させていただきます。
無理なく肩の力を抜いて続けていきたいと思いますので、楽しんでいただけたらと思います(毎週更新予定です)。
初めて読まれる方は、『あらすじ』も並行して読んでいただければ、読みやすいかと思います。
お楽しみください。

尚、文中の登場人物、会社等すべてフィクションです。


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DATE: CATEGORY:第9章 クロスロード
それからしばらくしたある金曜日の夜のこと。
いつものように春彦の部屋で話していた陽介は自分の部屋に戻るため、部屋のドアに手をかけた。
「そうそう、春彦、今夜は雨が降るってさ。
 水しぶきをまき散らせて走る超絶ばあちゃんにならないようにな」
そう言うと笑いながらドアを開け手を振って出て行った。
「ありがとな。」
春彦は、その後ろ姿を見送りながら、つぶやいた。

時計を見ると夜の8時近かった。
美穂子は既に会社から戻っていて、美穂子の部屋から音楽が微かに聞こえていた。
それも春彦でないと聞こえないほどの音だった。
「ふぅ…。」
春彦は、軽く息を吐きだすと、自分の中から、いつもの凶暴な自分が目を覚ましてくるのを感じていた。
(もう、妄想相手に組み手をやっても、治まらなくなって来たな…。)
そう思いながら黒っぽい半そでのTシャツとジャージの下に着替え、春彦はまるでネコ科の獣のように音もなくアパートを出て公園に向かって走り出した。

夜だったが、空は重たい雲に覆われ、いつ雨が降り始めてもおかしくなかった。
そしていつものように、ジョギングコースを走り始めたが、時間が早かったのか、また天気を気にして早めに来たのかジョギングコースにはいつもの倍以上にランナーが走っていた。
さすがにいつものように自分のペースでは走れず、春彦は3周くらいでジョギングコースを外れた。
公園の奥の木々が茂っている方に行くと、やはり時間が早いのか、または、治安が良くなったのか家路を急ぐため公園を突っ切る人の数も増えた気がした。

「……。」
「……。」
春彦は、近くの茂みの方で男女の言い争うような声が聞え、そっとその方向に近づいて行った。
「お前、一体なにしたと思っているんだ。」
「…。」
「万引きなんかしてさ。
 わかってる?
 万引きって犯罪なんだよね。
 警察に突き出そうか?
 それとも学校に連絡してやろうか?」
そう言う男は片手に手帳のようなものを持ってひらひらと揺らしていた。

春彦は気が付かれないように、茂みの中をのぞくと、中年の男と、高校生くらいの学生服を着た女の子が見えた。
話の内容から、その女子高生が万引きしたのを見咎めた中年の男が何やらよからぬことを考え、女子高生を暗がりに引っ張り込んだようだった。
「その手帳、返して!」
男が手に持っていたのは、その女子高生の学生証が入っている手帳だった。
「おーっと、そうは行かねえよ。
 ここに、自宅の住所や電話番号も書いてあるじゃねーか。」
「返して!」
女子高生が男の持っている手帳に手を伸ばして取り返そうとしたが、男は上手によけ、逆に手を取り、後ろ手に絞り上げた。
「痛い!」
「まあ、そう急かさない、急かさないって。
お楽しみは、これからだから。
 ね、華ちゃん。
 お前、華枝って言うのか。」
「手を離してよ!」
華枝と呼ばれた女子高生が身をよじったが、男は絞っている手に力を入れ離さなかった。
「痛い!」
絞り上げられ女子高生は悲鳴を上げた。

「おーっと、大きな声を出すんじゃねぇよ。
 俺は、こう見えても怖い人たち知ってるんだよ。
 そいつらにお前のことを話せばどうなると思う?
 お前の家族なんか、行方不明になり、お前もどこかに売り飛ばされるぞ。」
男は声のトーンを下げ、ドスの効いた声で脅しにかかった。
その声を聞いて、華枝は大人しくなった。
「そうそう、それでいいんだよー。
 やさしくしてやるからなぁ。」
男は、華枝の締め上げている腕を外し、そのまま、後ろから抱きしめた。
「くっぅ……。」
華枝は涙を目にいっぱいため、唇を血が出るくらい噛みしめていた。

「うひひひひ
 下はふかふかの芝生だからね。」
男は明らかに興奮していて、意味の分からないことを口走っていた。
そして、力任せに華枝を芝生の上に押し倒し、男は自分の着ている作業着を脱ぎ始めた。
華枝は、うつ伏せで肩を震わせていた。
“バキッ”
男が作業着を脱いだ時、茂みの中から春彦が湧き出たように男の前に立った。
「ん?」
男は凄みをきかせて春彦を睨もうと、春彦の顔を下から見上げるように見上げた。
「はっ、えっ?」
春彦は、すでに人の顔ではなかった。
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