FC2ブログ

プロフィール

梅星

Author:梅星
社会人になっても、いつもいろいろな空想の世界を思い描いていました。
その中で、ずっと書きたかったお話(小説)をブログという世界を使って紹介させていただきます。
無理なく肩の力を抜いて続けていきたいと思いますので、楽しんでいただけたらと思います(毎週更新予定です)。
初めて読まれる方は、『あらすじ』も並行して読んでいただければ、読みやすいかと思います。
お楽しみください。

尚、文中の登場人物、会社等すべてフィクションです。


最新記事


最新コメント


月別アーカイブ


カテゴリ


メールフォーム

名前:
メール:
件名:
本文:


訪問していただいた方々


よろしくお願いします。


DATE: CATEGORY:第9章 クロスロード
美穂子は美由紀の前に数字の「1」を似せて人差し指を立てた。
「まずは、怪人ランナー。
 なんでも、普通に走っていたら、後ろから行き成り黒っぽい服装のランナーに抜かれるんだって。
普通なら足音が近づいてくるからわかるんだけど、足音も気配もなく、そして、今抜かれたと思ったら、半周もしないうちにまた抜かれるらしいわよ。
しかも、その抜かれた人ってゆっくりジョギングしているジョギング愛好家じゃなくて、ばりばりの現役陸上部で、トレーニングで真剣に走っていたんだってさ。
それが、1周のうちに2回も抜かれるって、人間には無理だろうって話よ。
可哀想に、その追い抜かれた陸上部の子、自信喪失で塞ぎ込んじゃったんだって。
また、その怪人ランナー足が地面から10㎝位浮いていたって目撃者もいるんだって。」
「えー、それって、もしかして、おばば?」
美由紀が素っ頓狂な声で言った。
「なによ、それ。」
「昔、お父さんが読んでいたマンガで、おばあちゃんの幽霊がすごい勢いで走っていくって面白いマンガがあったの。」
「美由紀ぃ、何言ってるの。
 これは、怖―い、怖―い、怪人のお話しなのよ。」
美穂子は、半分呆れた顔をしていた。

その時“ガリッ、ガリガリ…”と氷が砕かれる音が聞えた。
陽介が音のした方を見ると、春彦が飲んでいたコーラのコップに入っていた氷を口に頬張り無表情に齧っていた。
“ガリ、ガリ…”。
その音で、美穂子も美由紀も一瞬気を取られ黙ったがすぐ美由紀が口を開いた。
「でも、襲われた人、いないんでしょ?
 それに驚いて怪我した人もいないんでしょ?
 よっぽど、おばあちゃんが走っていた方が怖いわよ。」
「もう…。
 それはそうだけど…。」
美穂子は口ごもったが気を取り直したように口を開いた。

「じゃあ、これは?
闇夜に舞う笑い男。」
美穂子は今度は数字の「2」に似せて人差し指と中指を伸ばした。
“ガリッ!”
春彦の氷を噛む音が、さらに大きくなった。
それを聞いて、美穂子が春彦の方を向いた。
「春彦~、どうしたのかな~?
 怖くなって、氷をかじる力が強くなったのかな~?」
美穂子は、春彦が怖がっていると勘違いしニヤニヤ笑っていた。
「いや、別に…。」
そう言う美穂子に、春彦はそっけなく答えた。

「まあ、いいわ。
それでね、ジョギングコースから外れた暗い茂みの方に出るんだって。」
「まあぁ。」
「ほんと、ほんと。
 黒いタキシード姿、黒いシルクハット被った長身で細身の男。
顔は、眼が半円の様なこんな目で。」
そう言いながら美穂子は、眼の辺りに山の様な半円を描いて見せた。
「それでね、口はこんなⅤの字で」
美穂子は自分の口の辺りに鋭角なⅤの字を描いて見せた。
「それでね、踊るようにゆらゆらと闇夜に浮かんで、声にならないような笑い声を上げてるんだって。
 それで、その声を聞くと、みんな心臓が締め付けられ、弱い人だと心臓が停まっちゃうんだって。」

「ねえ、美穂子さん、それって西洋の伝説に出て来るマンドラゴラとごっちゃになっていない?」
陽介がおかしそうに口を挟んだ。
「あ、それ私も知ってる。
 植物で、引き抜くと人間の様な顔をして悲鳴を上げるんでしょ?
 それで、それを聞いた人間は死んじゃうって言う。」
美由紀も面白そうに口を挟んだ。
美穂子は、怖がらせようとして話した話が、美由紀と陽介の笑いを誘い、拍子抜けをして春彦の方を向いた。
「春彦は、どう思う?」
「え?」
「“え?”じゃない。
 本当にいると思う?」
「うーん、どうだろう。」

春彦は、美穂子の話が自分のことだとわかり、苦虫を噛み潰した顔をした。
(確かに、他のランナーをぶっちぎったよ。
 茂みの中で、エアー乱取りをやってたよ。
 それが、走るばあちゃんに笑い男か…。)
ポンと肩を叩かれ、顔を上げると陽介が面白そうな顔をし
「ドンマイ!」
と笑いながら言った。
陽介は、夜な夜な春彦がジョギングをしに公園に行っているのを知っていた。
ただ、単に走るだけとでしか思っていなかったが…。
「ほっとけ。」
春彦は、苦笑いをして答えた。
(今度は時間帯ややり方を考えなくちゃ…)
スポンサーサイト
コメント

コメントの投稿


管理者にだけ表示を許可する


copyright © 2018 混線次元(はるかな物語) all rights reserved.Powered by FC2ブログ