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梅星

Author:梅星
社会人になっても、いつもいろいろな空想の世界を思い描いていました。
その中で、ずっと書きたかったお話(小説)をブログという世界を使って紹介させていただきます。
無理なく肩の力を抜いて続けていきたいと思いますので、楽しんでいただけたらと思います(毎週更新予定です)。
初めて読まれる方は、『あらすじ』も並行して読んでいただければ、読みやすいかと思います。
お楽しみください。

尚、文中の登場人物、会社等すべてフィクションです。


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DATE: CATEGORY:第9章 クロスロード
ピッピ、ピッピ…。
「う~ん。」
佳奈は、目覚ましの音で目を覚まし、眠そうに眼をこすりながらベッドを出て、机の上のパソコンの電源を入れ、時計を眺めた。
時計は朝の6時30分を指していた。
パソコンが立ち上がると、デスクトップにある木乃美の似顔絵のアイコンをクリックすると、誰かの部屋の画像が表示された。
「佳奈、おはよう!」
パソコンから木乃美の声が聞え、木乃美の顔がパソコンに映し出された。
「おはよ、木乃美。」
佳奈は、まだ眠そうな声をしていた。
「眠そうね、起きたばっかり?」
「うん。」
木乃美の住んでいるところは、時差が10時間以上あり、佳奈のところが朝の6時30分だと、木乃美のところは前日の夜の9時だった。

木乃美は海外に行く直前に、佳奈のパソコンにテレビ電話のように通信ができるソフトを入れておいた。
そのソフトは、お互いがソフトを起動するとパソコンのカメラを通じてお互いがお互いのパソコンに映るような仕組みになっていた。
なので、話がしたい時は、自分側のソフトを立ち上げ、相手が同じようにソフトを立ち上げるまで待てばよかった。
時差があるので、平日は、どちらかが朝起きて出かけるまでの間の短い時間、休日はどちらかが眠くなるまで、他愛のいない話や真面目な話などをするのが日課のようになっていた。
ただ、海外という遠距離だからなのか画像は、コマ送りのようにぎくしゃくしていたが、顔を見ながら話せることで贅沢は言わなかった。

「今日は、どうだった?」
佳奈がパソコンに映っている木乃美に話しかけた。
「うん、この前、少し話したけど、この国のリーダーが人種差別撲滅運動を推進する人に代わって、平和になったのよ。
結構、古い風習が残るこの周りにも、いろいろな人種の人が住むようになっていたの。
 だから、前みたいに“よそ者が来た”って意地悪されることがなくなったていうのかな。」
「よかったじゃない。」
「でも、昔の仕返しが出来なくて、何か肩透かしって言う感じ。」
「何言っているのよ、何かあって怪我でもしたらたいへんでしょ。
 みんな、仲良しが一番いいんだから。
 木乃美、絶対に変なことをやったり、無茶しちゃ嫌よ。」
「はいはい、わかっているって。」

木乃美は、ぼさぼさの髪をかき上げた。
「ねえ、木乃美、その髪、ちゃんと梳かしなさいよ。
 ちゃんとすれば、木乃美、可愛いんだから。」
「いいの、私、こっちには勉強できているんだから。」
「でも、身だしなみくらいは…。」
「それより、佳奈の大学、オリエンテーションで一泊したんでしょ?
 お友達出来た?」
「うん、何人かは。」
「佳奈、ぽや~んとしているから、相手してもらえないんじゃないかって心配。
 京子や慶子は違う学部だしね。」
京子と慶子は佳奈と木乃美の中学からの共通の友人で、大学も佳奈と同じ大学に進学していた。
「うん、お昼ごはん、たまに一緒に食べているけど、学部が違うと校舎も違うから、あまり学校で会うことないの。」
「でも、夏美さんと同じ学部じゃなかったっけ?」
「うん、でも、夏美さん、忙しそうで。
 話しかけたら悪いんじゃないかって。」
「そうだね、夏美さん、バンドやっているんだもんね。」

夏美は、佳奈たちの高校の軽音部の部員で、春彦の参加していたバンドのメンバーだったので佳奈や木乃美とは顔見知りだった。
バンドメンバーはそのまま、佳奈と同じ大学に進学し、そのまま、音楽サークルに入り、バンドの活動を続けていた。
佳奈の学部には、その音楽サークルに入っている学生がいて、夏美は必然的にそのサークルのメンバーと固まっていた。
「でも、大丈夫よ。
 頑張るし、私も、大学には勉強のために行くんだから。」
「あ、私のマネして。」
「うふふふ。
 じゃあ、また、夜にね。」
「うん、じゃあ、気を付けて、行ってらっしゃい。」

数日前。
佳奈の大学は新入生を対象としたオリエンテーション合宿があった。
今までは常に木乃美という心強い友達がいたが、その木乃美がいないのは幼稚園の入園式くらいだったので、佳奈は不安な気持で参加していた。
しかし、参加してすぐにおっとりしている佳奈は、他の女子学生に話しかけられ、4人位の輪の中に入ることができた。
仲間の輪に入れたと何となくほっとして周りを見わたすと見知った顔は夏美だけで、その夏美はすでにサークル仲間と固まっていた。
夏美はショートヘアを明るい茶色に染め、決して派手ではないが明るい化粧をしていた。
夏美は化粧をしなくても十分整った顔をしていたが、その化粧は更に夏美を引き立てていた。
(夏美さん、やっぱり綺麗…)
佳奈が、言葉なく夏美を見つめていると4人のうちの一人から話しかけられた。
「あ、あの子たち、音楽サークルの子たちね。」
体格のいい加津子という女学生が佳奈の視線の先にいる夏美たちを目ざとく見つけた。
「え?
 知ってるの?」
「うん、みんな知っているわよ。
 この大学の音楽サークルって、ほとんどがプロのバンドを目指して集まっているんだって。
やっぱり、私たちとは、ちょっと違うわよね。
お化粧も、どこかあか抜けているし、何となく近寄りがたいわよね。
特に真ん中の娘なんか、芸能人と言ってもいいくらいに綺麗だし。」
痩せていて佳奈よりも背の高い郁美という女学生が夏美を見ながら、やっかみとかはなく素直に感想を口に出した。
「え?
 プロになるんだ。
 そうだよね…。」
佳奈は、夏美や詩音たちがバンド活動を続けているのを知っていて、プロのバンドになるんだろうとうすうす感じていたが、周りから言われあらためて実感した。
(そういえば、高校の時から綺麗だし、お化粧も上手だったな)
そう思うと、佳奈は夏美が遠い存在に思えてきた。
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